2007年07月30日
生物の遺伝子情報(ゲノム:genome)を担う物質、DNA(デオキシリボ核酸)の二重螺旋構造の発見により1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞したジェームス・ワトソン(James D. Watson)博士のすべてのゲノム情報を、米国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のデータベースで2007年5月31日に公開したと、ベイラー大学(米テキサス州)が発表した。
誰のものかが明確なゲノム情報が公開されたは、史上初。
ワトソン博士の血液から採取したDNAを、ベイラー大学とバイオ企業「454ライフサイエンシズ」社(米コネティカット州)が約100万ドル(約1億2000万円)の費用で、2ヶ月かけて、博士のゲノムを解読した。
急速なゲノム研究の進歩によって、糖尿病や癌などの発症の事前検査が可能になってきた。
今回のワトソン博士のゲノムには、癌に関連する遺伝子が存在した。博士は皮膚癌に罹ったことがある。
米下院が2007年5月25日に特定の病気に罹る可能性が高いといった個人の遺伝子情報を基に、保健加入や雇用などで差別することを禁じる「遺伝子差別禁止法案」を420対3の圧倒的多数で可決したように、遺伝子研究には社会的な懸念が常に付きまとう。
遺伝子検査の結果による差別を恐れて検査を拒否してしまい、発症予防・早期治療の機会を逃してしまうといった懸念もある。
ワトソン博士はこの様な懸念について、AP通信に対し、「もし私が不眠になるとしたら、ゲノムではなく、イラク問題を懸念しているからだ」とした上で、「(遺伝子研究のためには)さらに何千人分ものゲノム解読が必要だ」と述べている。