2007年06月22日
米国で更年期障害の治療法として多用されてるホルモン療法の件数が2002年7月以後、急激に減少した。この減少に伴って乳癌の発症件数も大幅に減少したことを米テキサス大学Anderson癌センターのPeter Ravdin教授らの研究チームが報告した。
ホルモン療法の件数が急激に減ったのは、NIHの発表がきっかけだった。米国立衛生研究所(NIH)は2002年7月9日に、1万6608人の健康な女性を対象とした、1997年から9年間続ける予定だったエストロゲン・プロゲスチン併用療法の試験を、乳癌、血栓症、脳卒中などのリスクがあまりに大きいので中止すると発表した。
NIHが発表したホルモン投与試験平均期間5.2年の時点で乳癌のリスクが26%増加というデータは、ホルモン療法が循環器疾患などのリスクを下げるのではと期待をしていた人々にとってショッキングな数字だった。
このNIHの試験は更年期障害の改善を目的にはしていなかったが、ホルモン療法をしていた中高年女性に不安を抱く人が以後増えた。今回のテキサス大学の報告では、この影響で、ホルモン剤の処方件数は年間約2000万件、38%減少したとなっている。
ホルモン剤の処方件数減少に伴って、2003年に乳癌と診断された件数も1万4000件減少し、2004年も減少傾向が続いた。年代別では、50~69歳の乳癌罹患率低下が最も著しい。エストロゲン(卵胞ホルモン)によって腫瘍が大きくなるタイプの乳癌は、14.7%減少した。同研究チームは2006年12月に、米国で1980年代から年々増え続けてきた乳癌が2003年に減少したことをすでに報告している。今回は2004年も同様の傾向が続いていることを報告している。
Ravdin教授は、「我々の研究は、乳癌の死亡リスクの減少を証明するものではないが、ホルモン療法と乳癌との強い関連を示す結果といえる。しかしここで強調したいのは、すべてのホルモン療法を直ぐに中止しろということではない。ホルモンの量を最小にしできるだけ短期間にするというホルモン療法のガイドラインを守れば、ホルモン療法によって乳癌になるリスクは低い。深刻な更年期障害に悩んでいる女性にとっては、乳癌のリスクを上回る効果がホルモン療法にあることに変わりはない」と述べている。
今回の研究結果は、米医学誌「New England Journal of Medicine」2007年4月19日号に掲載された。