2007年06月13日
閉経前後のエストロゲン(卵巣ホルモン)の分泌低下に起因する女性の更年期障害には、ホルモン療法が効果的だが血栓が出来やすいという問題がある。
しかし、問題は治療に用いるホルモンにあるのではなく、ホルモンを体内に取り入れる方法にあるというフランスでの研究結果が、米医学誌「Circulation(循環)」2007年3月号に掲載された。
ホルモンを錠剤ではなく、パッチなどを使用して皮膚から吸収すれば、血栓リスクが大幅に低下するという研究結果である。
881人を対象にした臨床試験では、更年期障害の治療のために錠剤のホルモンを服用した女性が血栓を引き起こすリスクは、ホルモン治療をしない場合より4倍高かった。
パッチ、ジェルを用いた皮膚からホルモンを吸収させる場合では、ホルモン治療をしない場合と血栓リスクは同じだった。
今回の臨床試験では、エストロゲンのみとエストロゲンとプロゲスチンの併用が使用された。
この結果の理由としては、錠剤の場合では、ホルモンが体内で吸収されてまず肝臓を通過するので、肝臓からトリグリセリドといった血栓の原因となる物質が過剰に分泌することがあげられている。
パッチ、ジェル、クリームで皮膚からホルモンを吸収する場合では、肝臓を通過せずに直接血液にホルモンが取り込まれることから血栓が出来にくい。
欧州ではパッチを利用する女性が多いが、米国ではホルモン療法を受けている400万人以上の大半が錠剤を利用している。
理由としては、医師が錠剤の処方に慣れ親しんでいる、パッチで皮膚がかぶれる、汚れが気になる、錠剤の方が簡便、といったことが考えられる。
なお、錠剤にはコレステロール値、血糖値を下げる働きがあり、心臓病や糖尿病のリスクを軽減するという利点がある。
米国立衛生研究所(NIH)での研究では、エストロゲンとプロゲスチンの併用療法を長期的に行うと、乳癌、静脈血栓、心筋梗塞、脳梗塞のリスクが増大するとなっている。
専門家によれば、「更年期障害にはホルモン療法が有効だが、ホルモンを体内に吸収させる方法、治療期間、既往症など医師と十分にコンタクトをとって実施することが必要だ」とコメントしている。