世界最新!健康とサプリメント関連ニュース

健康とサプリメントニューストップページに戻る

2007年06月11日

バイオエタノール燃料で癌、喘息が増加?

自動車の燃料をガソリンからバイオエタノールに切り替えた場合、喘息や癌の死者が増加する、という研究結果が米国で報告された。

米スタンフォード大学のMark Z. Jacobson教授(土木環境工学)らの研究チームは、米国化学会(ACS:American Chemical Society)発行の「Environmental Science & Technology」 オンライン版4月18日付で「Effects of Ethanol(E85) versus Gasoline Vehicles on Cancer and Mortality in the United States」(米国での自動車燃料をガソリンからエタノールに転換した場合の癌、死亡率への影響)というタイトルのレポ―トを発表した。

今回の研究は米航空宇宙局(NASA)の助成を受けたもので、自動車の排気ガスが大気に及ぼす影響を、気温、日照、降水量、風力、地形、人口密度などの要素を考慮してシミュレーションしている。

その結果、米国内のすべての自動車の燃料を「E85」というバイオエタノール85%ガソリン15%混合の燃料に切り替えた場合、自動車の排気ガス中の二酸化炭素は大幅に削減されるが、発癌物質であるホルムアルデヒト、アセトアルデヒトが大気中に増加する。

また、地域によってはオゾン濃度が高まり、光化学スモッグなどの環境問題がガソリン燃料の時よりも悪化するとしている。

オゾン濃度が高まることで悪化する喘息などの呼吸器疾患の死亡率が全米で4%増加し、現在でも光化学スモッグ問題が深刻なロスアンゼルスのような地域では、死亡率が9%増加するとしている。

「E85」に切り替えた場合の癌、呼吸器疾患などの死者は、全米で年間200人増加するとみている。

バイオエタノールの原料にはトウモロコシ、サトウキビ、テンサイなどの植物が主に利用されるが、どの原料でも環境、人体に及ぼす影響に差異はないとしている。

ブッシュ大統領は2007年1月の一般教書演説で、バイオエタノール燃料の導入によって今後10年間でガソリンの消費量を20%削減するとした。

米環境保護局の研究では、この計画を推進すると光化学スモッグが1%増加するとしている。

自然資源保全協議会(NRDC)は、バイオエタノール燃料に転換することで、石油の消費が減り、大気の汚染、温暖化ガスの排出が抑制されるとして、今回のスタンフォード大学の結論に反論している。

米労働省によれば、2006年12月~2007年2月までの米国の食料価格は年率換算で5.9%上昇。特にバイオエタノールの原料であるトウモロコシの価格上昇の影響で飼料が高騰し、卵、牛乳、食肉の価格上昇が著しい。

2007年3月25日付のワシントン・ポスト紙に掲載された「トウモロコシは我々の問題を解決しない」という論文の執筆者、米ミネソタ大学のデイビット・ティルマン教授は、「地球温暖化は深刻化している。食料価格も高騰している。環境の保持と食料供給が両立できる最適なバイオエタノール政策を早急に検討しなければならない」と述べている。