2007年06月05日
米食品医薬品局(FDA)はこのほど、米国内で販売されている「アンビエン」などすべての睡眠薬に、睡眠中に車を運転したりするような異常行動を引き起こす危険があることを公表し、異常行動の症例を利用者に周知することを製薬会社に求めた。
製薬会社はすでに、睡眠薬服用中にアルコールを摂取しないこと、幻覚症状の恐れがあることなどをパッケージの警告表示に載せているが、FDAは異常行動に関する注意の喚起、他の神経系医薬品と併用しないこと、アレルギー反応などを加味した警告表示の草案を2007年5月までに提出することを各社に求めている。
また、睡眠薬の種類によって異常行動の発生頻度が異なるので、各製薬会社に発生頻度を確認するための臨床研究を実施するように勧告した。
米国で最も多く処方されている「アンビエン(Ambien)」(成分名:酒石酸ゾルピデム、系統:非ベンゾジアゼピン)は、2006年に約30億ドル(3600億円)の売り上げを計上している。
2006年の米国でのすべての睡眠薬の売り上げは2000年に比べ60%増加しており、睡眠薬服用者の増加に伴って、異常行動も増加している。
医薬品業界は、2006年に睡眠薬の宣伝費に6億ドル(720億円)を投じており、常軌を逸した規模の広告だ、という専門家からの批判がある。
2006年5月に、故ケネディ大統領の甥のパトリック・ケネディ下院議員が「アンビエン」服用後に議会敷地内で自動車事故を起こしたが、本人は記憶がなかったと言っている。睡眠薬による異常行動が原因ではと問題になった。
異常行動の多くが「アンビエン」服用後に発生している。「アンビエン」は世界約100カ国で販売され、日本での商品名は「マイスリー」である。
異常行動の例としては、いずれも睡眠中に本人が気が付かないうちに起きて、パジャマ姿で車を運転した。調理をしたり、食事をした。ネットショッピングをしていた。といったことが報告されている。
FDAは、これらの行動は複雑で、単なる夢遊病とは異なるとしている。
異常行動が発生する確率は、睡眠薬服用中にアルコールを摂取した場合に高まると見られている。
睡眠中に自動車を運転した人の90%が睡眠薬を服用して就寝する前にアルコールを摂取していた。