2007年05月21日
育児書には赤ちゃんに「赤ちゃん言葉」で話しかけるのはよくない、と書いてあることが多いが、日本での研究で「赤ちゃん言葉」が赤ちゃんの脳を活性化することが明らかになった。
今回の研究では、新生児の脳が「infant-directed speech」(「赤ちゃん言葉」)と「adult-directed speech」(「大人言葉」)にどの様に反応を示すかを分析した。
広島大学大学院教育学研究科の利島保(Toshima, Tamotsu)(心理学)教授らが実施し、医学誌「Archives of Disease in Childhood-Fetal and Neonatal Edition」(「小児期における疾患紀要-胎児・新生児版」)2007年3月号で報告した。
研究対象は平均妊娠期間38.9週、生後2日~9日(平均4.4日)の聴力が正常と思われる健康な新生児20人。新生児の脳を検査するのに用いられる、近赤外線分光法でデータをとった。新生児の額の左右の側面とまゆの上にセンサーをつけた。静かな部屋で寝ている新生児に母親が読む日本語の「赤頭巾ちゃん」を聞かせ、その「赤頭巾ちゃん」が「赤ちゃん言葉」の時と「大人言葉」の時の新生児の脳の前頭部の領域の血液の酸素量を測定し比較した。
その結果、「赤ちゃん言葉」の時の前頭部の領域の血中の酸化ヘモグロビンの濃度が上昇し、「大人言葉」の時は低下した。
これは、「赤ちゃん言葉」を聞いた時に前頭部の領域の酸素量が増加したことを示している。
研究チームは「infant-directed speech」(「赤ちゃん言葉」)の方が「adult-directed speech」(「大人言葉」)よりも新生児の脳の前頭部の領域を活性化させたとみている。そして、新生児にとって「赤ちゃん言葉」の方が心地よく、聞き取りやすいということをこの結果は示しており、新生児の世話をする人が「赤ちゃん言葉」を多用した方が言語の発達を促進するだろう、としている。
Infantという言葉の元の意味は「話さない」であるが、たとえ胎児でも外部の音に反応しているといわれている。言語の発達は「話さない」赤ちゃんの段階でもすでにスタートしているのかもしれない。