2007年02月26日
BSE(いわゆる狂牛病)を発症しないプリオンを除去したウシをクローン技術と遺伝子操作によって開発したと、日本のキリンビールと同社の子会社である米ヘマテック社、米農務省家畜疾病センターの合同研究チームが、2007年1月1日に、米科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー」オンライン版で報告した。研究チームは、プリオン遺伝子の機能を失わせたウシの繊維芽細胞の核を、体細胞クローン技術を用いて、核を抜いたウシの受精卵に移植し、これをメスの成体の子宮に戻して、牛海綿状脳症(BSE,Bovine Spongiform Encephalopathy)やクロイツフェルト・ヤコブ病などの原因とされるプリオン蛋白質を除去した牛を13頭作製したとのこと。これらのウシは生後20ヶ月を経過した時点で異常は発生していない。オスから採取した精子で正常な胚も作製したという。ただし、自然交配が可能かどうかはまだ確認していない。研究チームは、ウシを安楽死させ、脳の抽出液に異常プリオンを添加したが、異常プリオンが増殖したり蓄積することはなかったという。今後は、異常プリオンを直接、生体のウシに接種し、異常が発生するかどうかをみるという。BSEは正常型プリオン蛋白質が異常型プリオン蛋白質によって異常型に変形され、その異常型が増殖することで発症するとされている。クローン技術の専門家で今回の研究に参加した、ヘマテック社のジェームズ・ロブル氏は、「この技術を応用すれば、ヒトや動物のプリオンが関係するBSEなどの発症の仕組みを解明できる。また、牛のミルク、血清、コラーゲンなどを原料とする医薬品の安全性を向上できる。BSEの心配をなしでゼラチンのジェロ(ゼリー)も食べられる」と述べている。