2007年01月19日
乳幼児突然死症候群(SIDSSudden Infant Death Syndrome)で死亡した乳幼児には、脳内セロトニン系に異常があることが、米ボストン子供病院のDavid Paterson博士らの研究で明らかになった。SIDSとは、乳幼児が何の予兆もなく突然死亡してしまうこと。約9割が1歳以下で発生。寝ている間に死亡することが多いので、米では「crib death」(ゆりかごの死)とも呼ばれている。脳内ではセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの多くの物質がそれぞれ精神機能や脳神経機能に対する役割を持っている。その中で、セロトニン系(serotonin system)は脳幹の延髄に多く存在し、呼吸、心拍、血圧、体温、睡眠などをコントロールしているとされる。今回の研究では、SIDSで死亡した31人とSIDS以外の原因で死亡した10人の乳幼児を調査した。その結果、SIDS群は対照群と比べて、セロトニン産生細胞が多かったが、一方で、セロトニン運搬細胞が異常に少なかった。また、SIDS群にはセロトニン受容体に異常がある乳幼児もいた。これらのことからPaterson博士は「赤ちゃんがうつ伏せで睡眠中に自分で吐いた息、つまり高濃度の二酸化炭素を吸うと、正常な赤ちゃんではセロトニン系がそれを察知して新鮮な空気を吸うために頭を動かす動作が起きるが、セロトニン系に異常があると脳に正しい信号が伝達されず、その状態から回避できずに死亡してしまうのではないか」と述べている。この研究に対して専門家は、「対象規模が小さいのでより多く対象での検討が必要だが、興味深い研究だ。研究結果から、セロトニン系の異常がSIDSに関連していることが予想できる。しかし、SIDSは重複した原因によるものと思われるので、違った観点からの研究も必要だ。今のところは、妊娠中に喫煙、飲酒をしない、赤ちゃんを仰向けで硬いふとんに一人で寝かせる、枕は使用しない、室温を低めにして暖めすぎない、赤ちゃんの周囲で喫煙はしない、といったリスクの回避が重要だ」と述べている。この研究結果は、「Journal of the American Medical Association」2006年11月1日号に掲載された。