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2006年12月14日

米で低トランス脂肪大豆油の需要急増

アメリカでは最近、トランス脂肪の使用を規制する動きが高まっているが、この動きに連動して、米食品業界でトランス脂肪が少ない大豆油の需要が急増している。トランス脂肪を多く含むマーガリン、ショートニングは、物理的、化学的に安定しており高温に強く、酸化しにくいので加工食品、ファストフードに広く使用されている。そして、その大半は大豆油を原料にしている。食品業界では、トランス脂肪規制の高まりに応じて、菜種油、ヒマワリ油、ヤシ油など大豆油に代わる油を模索しているが、価格、供給量、味の点で大豆油に劣る。そこで注目されたのが、アイオワ州立大学のウォルト・フェール博士が開発した大豆だ。この大豆は、油を酸化させるリノレン酸の含有量が少ないため、トランス脂肪をほとんど含まない大豆油を製造できるのだ。従来の大豆のリノレン酸含有量は7%だが、この大豆は約1%である。このリノレン酸含有量1%の大豆から低トランス脂肪大豆油を製造販売しているアソイア社(アイオワ州)によれば、キャンベル・スープなど20の大手食品会社が、この低トランス脂肪大豆油の使用を開始している。ハインツ社、サラリー社など約50の他の大手食品会社も試験導入中で、供給が追い付かないとのこと。モンサント社、デュポン社はリノレン酸含有量が2.5%〜3%の大豆の種を作付け農家に販売している。2006年のこれまでの低リノレン酸大豆の作付け面積は、モンサント社が約50万エーカー(約20万ヘクタール)、デュポン社は20万エーカー(8万ヘクタール)、アソイア社は4万エーカー(1.6万ヘクタール)で、2007年は、モンサント社が3〜4倍、デュポン社、アソイア社も2倍以上に作付け面積を拡大する計画だ。米での低トランス大豆油の生産量は、2005年は2億ポンド(約1億kg)だったが、2007年には約10億ポンド(約5億kg)に増加すると予想されている。2005年の米国内の大豆油消費量は180億ポンド(約90億kg)、1人あたり約30kgだった。最近のトランス脂肪規制の動きとしては、米食品医薬品局(FDA)が2006年1月に、食品に含まれるトランス脂肪量の表示を義務付けた。ニューヨーク市では、市内の約2万店の全飲食店にトランス脂肪の使用を禁じる法案を2006年12月に施行予定だ。この法案が採決されれば、2007年7月までに、ニューヨーク市内の全飲食店の1人分の料理あたりのトランス脂肪は0.5g以下に規制される。さらに、2008年7月からは、0.5g以上のトランス脂肪を含む加工食品のパン、チップス、ケーキ、ドレッシングなども全飲食店で提供が認められなくなる。ちなみに、ケンタッキーフライドチキンのオリジナル・チキンディナーの1人前は、1160カロリー、トランス脂肪含有量は7gである。2006年6月にワシントンDCで開催された、アメリカ糖尿病学会では、「なぜファストフードは食べ過ぎなくても悪者か」と題した研究発表があった。ファストフードに含まれるトランス脂肪が内臓脂肪の蓄積(メタボリック・シンドロームの原因)を増加させることを動物実験で明らかにした研究である。この研究では、モンキーの一方に総カロリーの8%をトランス脂肪にした食餌、他方にオリーブオイルなどシス型の1価不飽和脂肪酸の食餌をあたえた。両方とも総カロリーは同じにし、総カロリーの35%が脂肪というアメリカンスタイルの食餌で6年間飼育した。その結果、総カロリーは同じなので体重増加も同様になるはずだが、トランス脂肪8%の食餌のモンキーは体重が7.2%増加したのに対して、オリーブオイルなどの食餌のモンキーの体重増加は1.8%だった。CTスキャンで調べると、トランス脂肪のモンキーは、内臓脂肪の蓄積がオリーブオイルなどのモンキーよりも30%多かった。トランス脂肪、メタボリック・シンドロームについては、「ジャスネット通信」記事番号4017メタボリック・シンドロームとは何か(2006年9月28日付)記事番号4022トランス脂肪使用禁止へNY市のレストランで(2006年10月4付)を参照して下さい。