2006年11月07日
ニューヨーク市衛生当局は、この程、レストランなどの飲食店でのトランス脂肪(Trans Fat)の使用禁止を検討していることを明らかにした。業者側は「禁止案は受入れられない」と反発している。ニューヨーク市衛生当局は、2005年8月から、市内の飲食店に対し、心臓病のリスクを高めるとして、トランス脂肪を含むマーガリンやショートニングなどの油脂の使用自粛を要請していた。提案の内容は、市内2万4600軒の飲食店すべてに対し、トランス脂肪を含む食材の使用を禁止するとし、立ち入り検査で店内にトランス脂肪が含む食材が見つかった場合、罰金の対象とするとしている。ただし、牛肉や乳製品に含まれる天然のトランス脂肪は除外される。市衛生委員会による承認は、2006年12月以降になるとのこと。これに対し、ニューヨーク州飲食店組合のニューヨーク市支部は「一般的に使用されている合法的な食材を禁止するのは行き過ぎ」と反論し、「どのレストランも従来の調理法を変えなくてはならないし、食材をすべて点検するのは不可能」と訴える。一方、ニューヨーク市の衛生局長は「トランス脂肪は危険で不必要な成分」とした上で、「健康的な油脂に切り替えることは簡単なことだ」と発言している。同様の規制は、すでにシカゴ市でも提案されているが、やはり規制が厳しすぎるとの意見があり、現在、年間売上2000万ドル(約24億円)以上の大手チェーンレストランのみを規制の対象とする案で検討が進められている。米国では、「トランス酸脂肪を過剰に摂取すると血液中の悪玉コレステロール(LDL)の増加と善玉コレステロール(HDL)の減少を引き起こし、心臓病のリスクを高める」という、米の医学会の発表を受けて、全ての加工食品にトランス脂肪の含有量を表示する義務規制が2006年1月1日から実施されている。米国政府衛生当局は、トランス脂肪の摂取を回避する努力をすれば、アメリカ全体で、今後3年間に、心臓発作が1200件減り、250〜500人の命が助かる、と推定している。表示義務規制が開始された米国では、「Zero Trans Fat」といったキャッチコピーが印刷されたマーガリンやスナック菓子類が日常的に店頭に並んでいる。日本国内の見解では、欧米と比較して油脂の摂取量が低い食生活では、問題が無いとされているが、有害性が確認されている以上、消費者が選択できる情報開示とトランス脂肪フリーの製品市販促進という代案が必要だといえる。なお、「トランス脂肪」「トランス酸脂肪」「トランス型脂肪」「trans fat acid」「TFA」は同義語である。