2006年10月05日
エイズウイルス(HIV)に感染しても、体内でHIVが増殖せず、従って、免疫力も弱まらない「エリート感染者」(長期進行停止型患者)の研究が、エイズ治療の現場で注目されている。「エリート感染者」は、体に備わった何らかの機能が、ウイルスの活動を抑制しているという意味で「エリート・コントローラー」と呼ばれ、エイズ感染者300人に1人の割合で存在すると推定されている。自覚症状がなく医者にかかることもほとんどないため、エイズ研究者の目に触れる事も少ない。「エリート感染者」の体内で、HIVが増殖しないかを解明することがエイズ治療の鍵と考える、ハーバード大学医学部のブルース・ウォーカー教授は、2006年8月13日~18日にカナダのトロントで開催された第16回国際エイズ会議(www.aids2006.org/)で、血中のHIV量が1ミリリットル当たり50個以下の、通常の研究設備では発見できない患者の情報提供を呼びかけた。ウォーカー教授は、2004年に米国の研究者500人に、この定義に当てはまるHIV感染者の存在を問い合わせた。半数以上の研究者から、存在する、との返事があり、ウォーカー教授は「エリート感染者」の存在を確信した。ウォーカー教授の研究チームは、現在までに、「エリート感染者」約100人の存在を把握したほか、米西海岸の医師の協力で、さらに、50人を特定できるとのこと。「エリート感染者」に関する記事が、最近のロサンゼルス・タイムズ紙に出てからは毎週、約10件の問い合わせがあるという。HIV感染者でも、少数ながら長期間生存する人がいることは、以前から知られていた。それを、「エリート感染者」(長期進行停止型患者)とひとくくりにすることには、異論があるが、HIV感染後、少なくとも10年間、免疫システムが正常な状態で生存している人は多い。