2006年10月04日
既存の薬が効かない多剤耐性エイズウイルスにも効果がある抗HIV薬ダルナビルを、パデュー大学(インディアナ州)のアラン・ゴーシュ教授、熊本大学の満屋裕明授らの日米共同研究チームが開発した。 米食品医薬品局(FDA)は、ダルナビルを2006年6月23日に承認した。エイズ患者への恩恵が大きいとして、申請後、約半年のスピード承認だった。日本では、現在、ヤンセンファーマが承認申請の準備中で、治験が実施されている。2006年8月にカナダのトロントで開催された第16回国際エイズ会議(www.aids2006.org/)にて、ダルナビルの臨床試験の成績などが発表された。 深刻な脅威となっている耐性HIVへの幅広い効果が確認された薬は、世界で始めて。専門家らは、今後、ダルナビルがエイズ治療の主役になると見ている。 ダルナビル(darunavir)は、エイズ治療に広く用いられるHIV-Iプロテアーゼ阻害剤(PI)の一種。ゴーシュ教授が合成し、満屋教授が生体内での効果を確認後、臨床試験へと進めた。プロテアーゼは、HIVに含まれる酵素で、蛋白質を切断する「はさみ」の役割を果たすが、PIは、酵素に付着して「はさみ」を切れなくし、HIVの増殖を阻害する。既存のPIは、酵素の成分であるアミノ酸の端に結合する性質があり、HIVの遺伝子が変異してアミノ酸が変化すると効かなくなってしまう弱点があった。これに対して、ダルナビルは、アミノ酸が変化しても影響のない場所に結合するので耐性が出来にくい。PIなどへの耐性が検出されたHIV患者への臨床試験では、約70%に治療効果が見られ、別の薬の3倍以上の治療効果がある。ダルナビルは成分名で、販売名はプレジスタ(Prezista)。ベルギーのティボテック社(Tibtec,Inc.)が製品化した。満屋教授は、世界初の抗HIV薬「AZT」の開発者。その後、2剤を開発し、ダルナビルが4剤目の抗HIV薬となる。