2006年08月10日
痴呆症になった老人は、介護する人によって、かえって症状が悪化することがある、とい実態が、「米老人医学会雑誌」(Journal of American Geriatrics Society)最新号で発表された。発表したのは、米ウエークフォレスト大学医学部のケーシー・シンク博士。博士らは、アメリカの8つの都市に住む、合わせて5700人の痴呆症の老人と、その介護をしている人たちを対象に調査した。介護人は、家族、ないし、縁戚者が多かったが、雇われていた人もいた。調査は、インタービューアーを老人に家庭に派遣し、老人とその介護人に、直接話を聞く形で進められた。調査の重点は、介護人の方に重点が置かれた。介護人自身に問題はないか、とくに、うつやストレスなど、心に問題をかかえていないか、介護している老人をどう見ているのか、介護の仕事を負担に思うか、自分が介護をするようになって、老人の症状はどうなったか。家族はどうかなど、いろいろな側面から、問題を探った。 その結果、介護人自身が、精神的、肉体的に問題が多いと、介護されている老人は、行動面で、状態が悪化していることがわかった、という。とくに、若い人が介護人の場合、老人は欲求が満たされないのか、徘徊など行動に問題が生じるケースが多いという。その割合は、経験の浅い若い人が介護人をしている場合、また、介護人の教育水準が低い場合に、一般の老人の問題より、50%以上問題が多いという。シンク博士は、「言うまでもないが、とくに、難しい老人の世話をしている場合、介護人が不適任だと、痴呆症の症状がどんどん進むことがわかった。介護人には、心身ともに、職業的な知識と経験が必要だと思う」と話している。