2006年08月21日
音楽を聴くと、慢性の痛みを緩和させることができる、という実験結果が報告された。音楽は一種の鎮痛剤になると言うのだ。実験したのは、クリーブランド・クリニックの上級看護学者、サンドラ・シデレッキ博士らで、アメリカの医学研究の総元締めNIH(国立衛生研究所)から研究資金を得て行われた。雑誌「高等看護学」(Journal of Advanced Nuersing)2006年5月号で発表されたこの報告によると、研究者たちは、まず、背中、首、関節に痛みがあって、医師から、標準的な鎮痛療法を受けている患者60人(26歳から64歳)を集めて、こんな実験を行った。まず患者を3つのグループに分けた。第1のグループには、1日1時間、テープで音楽を聴かせた。曲は全部で5曲あって、すべて、研究者が選んだ。そのうちの1曲を、毎日聴かせて、1週間続けた。第2のグループにも、第1のグループ同様、毎日1時間、1週間音楽を聞かせたが、曲は全部患者自身が選んだ曲ばかりだった。第3のグループには、音楽は聴かせずに、痛みを抑える標準療法を続けた。すべての患者には、毎日日記をつけさせ、痛みの程度、うつ状態になったかどうか、手足の不自由さはどうか、などについて記録させた。痛みの程度は、良く使われる2つの標準的な「痛み評価質問表」に従った。しかし、各自が痛みの程度を、自由に表現してもらった。その結果、音楽を聴いた2つのグループの患者は、音楽を聴く前よりも、痛みが20%ほど軽減した、と記録した。これに対して、音楽を聴かなかったグループでは、1週間経過後、痛みは、やや(2%)強くなっていた。この研究結果について、共同研究者であり、ケースウエスタン・リザーブ大学教授(看護学)のマリオン・グッド博士は、「実験規模が小さいので、決定的なことは言えないが、たしかに、定期的に音楽を聴くというのは、慢性の痛みを抱えた患者には、痛みを和らげる効果がある、と言えそうだ。鎮痛剤の代用になる、とまではいかないが、重要なことは、痛みで辛い思いをしている患者には、薬剤以外の方法で、リラックスさせ、気を紛らす方法で、痛みを最小限にとどめることを考えてやることが必要だということである」と述べている。