2006年07月20日
アフリカなどの猿に感染すると、非常に高い致死率を示す「マーブルグ・ウイルス」(Marburg virus)から猿を守るワクチンができたが、これを同じアフリカで流行している「エボラ出血熱」の治療に使えそうだ、というわけで、その研究が進んでいる。マーブルグ・ウイルスは、人間に感染するエボラウイルスと近縁。両ウイルスとも、きわめておそろしい毒性があり、感染すると、アフリカではもっとも恐ろしい病気となっている。この研究を行ったのは、米陸軍感染症医学研究所のトーマス・ガイシャート博士ら。マーブルグ・ウイルスに対するワクチンは、ある無毒のウイルスの中のある遺伝子を取り出し、マーブルグ・ウイルスのかぎとなる遺伝子と置換して、作り出された。研究者たちは、猿にマーブルグ・ウイルスを感染させて発病させ、それから、ワクチンを接種したこところ、10日から12日で死ぬはずの猿が、元気でいつまでも健康体だった。この研究は、英医学誌「ランセット」最新号に掲載された。そこで、研究者たちは、マーブルグに対するワクチンをエボラ出血熱の治療に使える可能性が高いとみて、試験をすることになった。しかし、猿と違って人間が相手だと、試験をするにもいろいろ難しく、結果が出るのはまだ先になるだろう、という。なお、エボラ出血熱は、1976年、アフリカのスーダンとザイール(現コンゴ民主共和国)で発生したきわめて死亡率の高い伝染病。頭痛、筋肉痛、下痢、嘔吐のあと、脱水症状、下血を呈し、死ぬ。治療法はない。その後も、時折、アフリカの広い範囲で流行を見ている。猿から感染した例も報告されており、猿とのつながりが注目されている。国際伝染病の一つ。エボラ・ウイルスは、強い毒性があるため、バイオテロリズムに使われるのではないか、と心配されている。