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2006年06月16日

女性は夜間勤務をやらない、の動き広がる--米

女性に夜働かせない、という動きが、アメリカの一部で広まっている。以前、女性は夜間勤務をしないものだった。それが、男女同権思想が拡大する中で、女性を夜間勤務から締め出すのは男女同権にもとる、という主張が強まった。そして、女性の夜間勤務が、本来男性の職場にも進出するようになった。警察、軍隊、消防などにも女性がどんどん加わり、今では、どの職場にも女性の姿があるのが当たり前のようになった。男女同権がそれだけ徹底化したのだ。歓迎すべきことというべきだろう。そこでなぜ、女性に夜間勤務をさせない動きがでてきたのだろう。今起きている「女性は夜間勤務をしない、あるいは、女性を夜間勤務からはずす」という動きというのは、男女同権とは関係なく、健康上の理由からである。夜間勤務をすると、男女を問わず、睡眠障害が起きて、生活が狂ってきて、健康上もさまざまな問題が起きてくることは、よく知られている。数年間のことだ。夜間勤務をする人と、昼間だけ働く人とを比べる研究をしていたある疫学者が、全く予期しないことを発見した。夜間勤務をする女性に、乳がんが異常に多いことに、気がついたのである。疫学者は、その理由を説明するのに苦慮したが、夜間勤務によって、人工照明にしょっちゅう当たっていることに関係しているのではないかと考えた。が、このような、社会経済的要因と病気の原因とを結びつけることは容易ではなく、その証明が難しい。別の科学者が、サーカディアンリズム(circadian rhythsm)でこれを説明しようとした。体内に備わっている(と考えられている時計)(生物時計)は、朝の陽光を受けて、からだに活動を促し、夜の闇とともに、体に休養を命じて、眠らせる。これが自然で正常な人間の生理なのだが、もし夜になっても、いつまでも闇が来ないと、体のホルモンが異常をきたし、健康を害する。その結果として、女性は乳がんになる、と説明したのだ。この説をさらに進めたのが、夜間勤務者はメラトニンの量が、いつも普通の人より少ないことがわかった、という研究報告が、いろいろな方面から寄せられたことだった。メラトニンは、睡眠薬代わりになるサプリメント(補助栄養食品)としてよく知られている。脳内の松果体という小さな器官がら分泌されるメラトニンは、周囲が闇に包まれると、スイッチが入って、分泌量が増える。
つまり、自然な眠りに入るのだが、もし、周囲が闇に包まれることなく、いつまでも明るかったら、メラトニン分泌が不足する。しかも、メラトニンには、体内の腫瘍の成長を抑える働きがあることが知られている。夜間勤務と乳がんとの関係が次第にわかってきた。そこへ、決定的な研究発表があった。2001年のこと。ボストンにある「ブリガム女性病院」(Brigham and Women's Hospital)とハーバード大学の研究グループが、7万8000人の看護婦を調べて、夜間勤務の多い女性は、普通の女性と比べて、乳がんが1.5倍多いことがわかった、NCI(米国立がん研究所)の機関誌に発表したのだ。同じ研究グループは、さらに、2004年、夜間勤務の女性は、体内の女性ホルモンであるエストロゲンが多いことがわかった報告した。エストロゲンが増えると、乳がんが多いことはわかっているので、これで夜間勤務の女性に乳がんが多いことの説明ができた。こうして人工証明に当たっている時間が長いと、女性は乳がんになりやすいことがわかったわけで、「女性は夜働かせるのをやめよう」と言う動きとなった次第である。もちろん、働くばかりではない。夜間長い時間テレビを見ていても、それが日常になったら、乳がんになりやすくなるわけだ。