2006年06月13日
友人や親戚などとの付き合いが広い老人は、アルツハイマー病にかかっても、なかなかぼけないことがわかった、とシカゴにあるラッシュ大学医学センターの医師が、4月下旬、イギリスの雑誌「ランセット神経科学」(Lancet Neurology)のオンライン版で報告している。この研究によると、研究者のいう「社会的ネットワーク」(social network)が豊かな人は、アルツハイマー病にかかっても、ネットワークが貧弱な人と比べると、知的能力を失う過程がゆるやかで、長い間、機能を失わないでいることが多い、という。社会的ネットワークが豊か、ということは、付き合いが広い、ということになる。研究リーダーのアルツハイマー病の権威であるデービッド・ベネット博士によると、ネットワークが広い人が、人を訪ねたり、話し合って、お互いに助け合ったりしていると、アルツハイマー病の発病によるインパクトが減って緩和されるのだという。つまり、病気になったも、すぐにはぼけない、というわけだ。なぜそうなるのか。同博士は、アルツハイマー病になった、という発病の病理学的インパクトは、みんな同じだが、病理が進行していく過程で、思考能力が早く失われるかどうか、が人によって違い、ネットワークが広く、頭をよく使っている人は、その進行過程によく耐えられるのである、と説明している。それは、各人がもっている病気に耐える潜在力、つまり、ストレスや損傷に耐える力と関係しており、社会的ネットワークによって、その潜在力が強化されると、同博士はいう。では、すでに、アルツハイマー病になった老人、あるいは、なりそうな老人が、意図的に付き合いを広げたら、病気はよくなるのだろうか。この問いに対して、同博士は、「それは何とも言えないが、とにかく、閉じこもったり、孤独でいるよりも、できるだけ、交遊の輪を広げて、明るく前向きに生きる努力をすることが大事であると知るべきだろう」と、このアルツハイマー病の権威は述べている。