2006年04月24日
お年寄りは、突然悲しくなったり、気がふさいだりしすることがある。これは一般に、「お年寄りのうつ」と言われるが、これは、病気というより、老化にともなって避けられないことだと思ったほうがいいようだ。お年寄りのうつは、治療すればたいがい、一時的には治る。しかし、いったん良くなっても、再発することがしばしばある。どういう治療をすれば、お年寄りのうつを再発させないですむだろうか、をさぐるために、行われた研究が、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」2006年3月16日号で発表された。そこでは、うつを治療した経験のある、70歳以上のお年寄り116人を対象にある実験が行われた。まず、被験者を4つのグループに分け、第1のグループには毎日抗うつ薬の「パキシル」(Paxil)を与え、第2のグループには毎日偽薬を、第3のグループには毎日抗うつ薬を投与した上に、月一回の心理療法を施し、第4のグループには毎日偽薬を与えた上に、月一回の心理療法を施した。これを2年間続けた結果、お年寄りのうつの再発がもっとも少なかったのは、抗うつ薬を投与した2つのグループで、再発率はそれぞれ35%、37%だった。次いで再発が少なかったのは、薬と心理療法のグループで58%、もっとも再発が多かったのは偽薬だけのグループで68%だった。この実験は、抗うつ薬と心理療法の有効性を比較したが、以前には、心理療法の方がすぐれているいう報告もあった。実験の方法、被験者の病気の進行度、抗うつ薬の種類、心理療法の方法、などによって、異なった結果が出るため、いちがいに優劣は決められないが、いずれにしても、お年寄りのうつに対しては、まず、周囲が良く理解してあげること、薬でも他の治療法でも、根気よく続けることが肝要である、と研究者たちは言っている。なお、この研究は、パキシルのメーカー「グラクソスミスクライン社」の研究資金で行われた。