2006年04月17日
脳卒中の後遺症で手や腕が不自由になる。このとき、両方の手(腕)が同じようにダメージを受けるのでなく、どちらかが弱くなって不自由になるが、もう一方は、まだ十分使える場合が多い。そこで、つい片方ばかり使ってしまうようになる。その結果、弱いほうの手(腕)は使わないから、永久にだめになってしまうケースが多い。
そこで、弱くなったしまった手(腕)がだめになる前に、できるだけ回復させることはできないものだろうか。そのための試みが行われ、2006年3月2日の雑誌「脳卒中」(stroke)のオンライン版で報告された。この研究では、脳卒中の後遺症をもつ41人の男女を対象に行われた。彼らは、脳卒中を患ってから平均して4年半経過し、どちらかの手(腕)が不自由になっっていた。研究者たちは、このうちの21人に、特別な治療法を試みた。それは、日ごろ使っている強いほうの手(腕)を、縛ったり、添え木をつけて固定するなどして、弱くなった方だけを動かすようにした。この治療法では、その弱くなった方の手(腕)の動きを次第に動きを難しくさせ、1日6時間、2週間これを実行させた。残りの20人には、普通の一般的なトレーニング(バランス、スタミナ、リラクセーショション)やエクササイズをやらせた。
こうして2週間後、被験者の不自由な手(腕)の動きが少しずつ良くなり、身体不自由者の動きを測る11段階の目盛りで、以前より2段階アップした。この目盛りは、「本を持つ」「歯を磨く」「戸をあける」といった動作を目安にして、難度を決め、これを数字で表したもの。しかし、強いほうの手を縛ったりせずに、そのままにしてトレーニングだけを行ったグループでは、目盛りはアップしなかった。また、別の測定法でも、この治療のあと、弱くなった方の手(腕)の機能が87%も向上したことが確かめられた。このことから、脳卒中でダメージを受けて弱くなった方の手(腕)は、強制的によく使うようにすれば、次第に回復することがわかった、と研究者たちは結論づけた。脳卒中の後遺症でダメージを受けるのは、体のその部分をコントロールしている脳の部分がやられたたためだから、その部分を再学習させれば、機能が回復することは十分考えられる、と研究者たちは説明している。つまり、だめになったから、といって、使わなければ、いつまでも脳は再学習しないでいることになるから永久に不自由のままでいる、というわけだ。