2006年04月12日
神経がいらだったり、命が心配になるほどの不安な気持ちに襲われた時、それをなだめてくれるのは、親密な連れ合いが差し伸べる「手」である、という、ユニークな研究成果が発表された。発表したのは、米ウイスコンシン大学やバージニア大学の心理学者、神経科学者による研究チームで、近く、雑誌「心理科学」(Psychological Science)に研究内容が掲載されることになっている。この研究は、まず、新聞に「カップル募集」の広告を出すことから始まった。そして、ウイスコンシン州マディソン地域から応募した16組のカップルが集められた。いずれのカップルも、深層心理にまで突っ込んだ質問をぶつけて、非常に親密な間柄であることが確かめられた。被験者の女性を、MRI(磁気共鳴映像法)のスキャン台にうつ伏せに寝かせた。女性には、時折、足首の部分に微弱な電気ショックを与えることを、あらかじめ知らせておいた。スキャン台の被験者には、電気ショックによる痛み、ショックが来るというストレス、それにともなう嫌な気持ちを抑えようとする気構えが交錯していた。その様子が、脳のMIR像に見て取れた。そこへ、女性の連れ合いの夫を、MRIの台まで招き入れ、妻の手を握らせた。すると、MRI像にに現れていた女性のストレスの高まりが急落し、不安がなだめられ、気持ちが落ち着いたことがわかった、という。とくに、痛みに対するおそれを表すMRIの像が、夫の手に触れた場合、もっとも敏感に反応したという。被験者が、信頼している夫の手をつなぐことによって、安心する心理が良くわかったのである。また、手をつなぐだけでなく、抱擁したり、背中をさすったりすれば、被験者はさらに安心する様子がわかった、という。しかし、夫以外の見知らぬ人の手を握った場合には、被験者の気持ちはいくらか和らいだが、夫の手を握った場合ほど、MRI像に顕著な変化は現れなかったという。研究者たちは、この研究を発展させて、MRIの像の変化からカップルの親密度が測定できそうだ、と言っている。もし、2人の間に、マイナスの要因、例えば、不仲、敵意、うらみなどが、潜在的に存在していれば、MRIの像にそれが如実に現れるだろう。だから、だれかをMRIの台に乗せて、ショックを与えて不安にさせ、別の人に手を握らせて、そこにあらわれるMRIの像の変化を見れば、被験者と手を握った2人の間の親密度が読み取れるかもしれない、と研究者たちは言う。