2006年04月10日
腰痛は、進化の過程で獲得した直立二足歩行にともなった、人類の宿命である。ある程度長く生きた人は、人生のどこかで、腰痛に見舞われる。昔は、お年寄りといえば、腰が曲がり、右手で杖をつき、左手を腰にやって、歩いたものだった。近ごろは、腰の曲がったお年寄りはほとんどみられなくなったが、その代わり、腰痛が増えた。ところが、腰痛の辛さを和らげてくれるいい飲み薬がない。そこで、世界的に、あらゆる「代替治療法」が取り入れられている。はり、指圧が代表的だが、他に、牽引(けんいん)、超音波、電気、磁気、温熱、ストレッチ、エクササイズ、果ては、瞑想(メディテーション)などさまざまある。そこで、いろいろな腰痛治療法を試してみた試験が、イギリスで行われ、その結果が、2006年2月17日、BMJ(英医師会報)のオンライン版で発表された。そこでは、腰痛持ちの中年の男女129人を任意に2つのグループに分けて1グループに、はりを、他のグループに、骨盤牽引、背骨の矯正、温熱と電気による刺激、エクササイズ、という、5種類の物理的治療法(PT=physical therapy)を1ヵ月にわたって施した。試験の結果、いずれのグループも、痛みがある程度軽減された、と報告した。が、痛みの程度を、24段階のスケールで測定して比較したところ、はりのグループが、物理的治療法を受けたグループより、改善度が平均して4ポイント上回った。また、試験に参加した人のうち、「ひどい腰痛」と診断された人の割合は、はりのグループは、他の物理的治療法を受けたグループより、89%も減少した。しかも、はりを施された人たちでは、改善された状態が、この試験が行われた6ヵ月後も持続していた、という。この試験結果について、研究者たちは、「この種のテストでは、施術者の巧拙、経験、被験者の体の状態、その他の要因が結果に影響するが、こうしたことを考慮しても、はりが一番すぐれていることは確かである」と話している。