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2006年03月04日

黒人は肺がんになりやすいを証明−−人種論争に一石

黒人は、白人よりも、同じようにたばこを吸っても、肺がんにかかる割合が高いことがわかった、と、2006年1月26日発行の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」で報告された。これは、規模の大きい調査の結果で、信頼性は高い。これによって「人種とがん」、あるいは、「人種と病気」をめぐる論争に波紋を投げかけている。この研究は、南カリフォルニア大学のクリストファー・ハイマン博士らが行った。研究者たちは、カリフォルニアとハワイに住む18万3813人の成人を対象に、8年間にわたって調査した。調査の主目的は、食事と健康との関係を調べるためだったが、同時に、喫煙についても詳しく調べた。その結果、喫煙本数が1日平均1箱以下の人で比較すると、黒人とハワイの原住民(ポリネシアン)は、白人より肺がんにかかる割合が、45%から55%高かった。また、日系人とラテン系(スパニッシュ)は、白人より、肺がんにかかる割合が、30%から50%小さかった。この違いは、調査対象者の食事、社会経済的地位、職業を考慮しても、歴然としていた。しかし、喫煙本数が、1日1箱以上になると、この人種間の肺がん罹患率の違いはなくなった。これは、喫煙本数が多くなると、たばこの毒性が強くなって、人種間に違いをもたらした要因を消してしまった、と研究者たちは見ている。ハイマン博士は、この調査結果について、「喫煙によって、肺がんにかかるリスクが黒人が白人より高いというのは、別の環境要因を考えにいれても、黒人が本来たばこによって肺がんにかかりやすい、と考えるのが自然だ。黒人は、ニチコンその他の発がん性物質に対する反応が、生物学的に白人と違っていて、ニコチンに対する代謝機能が違うのではないか」と述べている。これに対して、ミネソタ大学の生命倫理学者ジェフリー・カーン博士は、「そういう考え方をすると、がんはマイノリティ(少数派、この場合は黒人)の病気であるという固定的な見方をしやすくなる。これは人種差別だ」と論じている。これに対して、ジョージタウン大学(ワシントンDC)のグレッグ・ブロッグ博士は、「いずれにしても、この研究によって、がんと、遺伝学、生物学、社会的条件、環境要因との関係を探る研究が盛んになることだろう。そのさい、気をつけなければならないのは、自分の立場を考慮するあまり、イデオロギーが正しい理解を妨げることである」とコメントしいている。