2006年02月03日
「Nーアセチルシステイン」(N-acetylcysteine、NAC)というサプリメント(栄養補助食品)がある。抗酸化物質として、広く使われている。これを、麻薬のコカインの常習者に与えたところ、コカインが欲しくなくなった、という研究結果が、2005年12月中旬に開かれた神経心理薬理学会で報告された。それによると、この実験では、入院しているコカイン常習者にNACを与えたあと、コカインの写真を見せた。すると、見せられた常習者は「あんまり欲しくはない」と言い、同じように、常習者に偽薬を与えてから、コカインの写真を見せた時の反応と明らかに違っていた。この実験を行ったサウスカロライナ大学のピーター・カリバス博士らは、このとき、コカイン常習者の脳を、MRI(磁気共鳴映像法)でスキャンしてみたところ、NACを与えた常習者と偽薬を与えた人で、明らかに像が異なっていた。「普通、コカイン常習者は、コカインが欲しくなったときに、大脳皮質のある部分が活性化するのがわかるが、NACを与えると、活性化が鈍っているのがよくわかる。麻薬への欲望が抑えられているのだ」と、同博士は述べている。同博士は、コカイン常習者の症状改善にNACを使うのは、まだもう少し研究を重ねる必要がある、と言っているが、この実験から、新しい麻薬治療法が生まれるかもしれない、と期待されている。