2006年02月10日
運動をよくし、夫婦げんかなど家庭内でのいざこざをなくして、ストレスが少ない毎日を送れば、傷の治りが早くなる、と言う研究結果を、オハイオ州立大学の研究者が、それぞれ、2005年11月と12月に発表した。11月発表のエクササイズに関する研究は、雑誌「老人学」(Journal of Gerontology)に掲載された。ここでは、55歳から77歳までの高齢者28人を対象に行われた。日ごろはあまり運動をしない人たちばかりだ。被験者に小さな傷をつけて、2つのグループに分けた。一つのグループ(13人)には、毎日決められたエクササイズを実行させた。1時間のウォーミングアップとストレッチ、30分の静止自転車、または、ウォーキング、ジョッギング、それに筋肉トレーニングをやらせた。残りの15人には、それまでと同じように、とくに何もしないで座りがちな毎日を送るように、と言った。こういう生活を3ヵ月続けさせた。その結果、何もしないグループでは、傷が治るのに平均39日かかったが、エクササイズ久組では平均29日で治った。ストレスと傷との関係を調べた12月の研究は、雑誌「一般精神医学」(Archives of General Psychiatry)で発表された。ここでは、22歳から77歳までの夫婦42組を対象に実験を行った。被験者を2回病院に入院させた。1回目は、普通に会話をさせて、穏やかな気持ちで、病院暮しをさせた。2度目は、夫婦間でお互いをなじりあって、けんかをさせた。どちらの場合も、入院の度に、前腕に水ぶくれ状の傷をつけた。こうして傷が治る状況を観察した結果、夫婦げんかをさせた時には、穏やかな病院生活の時の60%程度しか治らなかった。つまち、ストレスが多いと、それだけ傷の治りが悪かった。傷の治療の専門医、リチャード・ケルトン氏(ボルチモア・ワシントン・メディカル・センター)は、「傷を治すには、傷の部分に最大限の血液を送ることだ。血液を送るあいにこれを妨害するものを排除しなければならない。ストレスや血のめぐりを悪化させると、酸素供給が悪くなる。つまり傷の治りが悪くなる」と説明している。この2つの研究結果から、研究のリーダーの一人であるロン・グレーザー博士は「運動とストレスが、傷の治りに影響していることは確かだ。すなわち負傷しても、できるだけ体を動かして、ストレスを少なくして、穏やかな気持ちで毎日を送れば、早く治癒することがわかった。これらの実験は、傷は小さいし、短期間だったので、例えば交通事故に遭遇した場合のような、大きな傷についても、同じことが言えるのかどうか、はわからない。が、おそらく、傷のある患者は、朝早く起きて体をよく動かし、明るい気持ちいるだけでも回復を早める効果があるのではないか」と言っている。同博士はまた、「手術を受ける患者は、普通、恐怖心などで、大きなストレスを感じている。その恐怖心が、手術からの回復を妨げていることが考えられる。そこで、手術を受ける患者から、恐怖心を取り除いてやる工夫をするだけで、傷の治りを早める効果があるだろう」と述べている。