2006年02月17日
犬ががんを嗅ぎ分ける。ひょっとして、新しいがん診断法になるかも、と言う興味深いニュースが伝わった。「統合がん治療法」(Integrative Cancer Therpies)という。あまり知られていない雑誌に掲載された研究であることから、信頼性を疑問視する向きもあるが、いや大いにありうることだ、と興味を示す専門家も いる。これを研究したのは、カリフォルニア州マリーン郡にあるクリニック「パインストリート基金」(Pine Street Foundation)のマイケル・マッカロック研究部長ら。以前から、がん腫瘍から、微量の化学物質が放出されていて、その物質は、健康体の人には存在しない、という説があることにヒントを得て、この研究が始まった。研究者たちは、飼い主から借りた犬、盲人から借りた盲導犬を合わせて5頭使った実験を行った。種類はラブラドール犬3頭、ポーチュギーズ犬2頭。これらの犬に、まず、爆発物や麻薬をかぎ分けるようにするために行われる時と同じような訓練を施した。犬に、さまざまな似たような種類の匂いを嗅がせて、正しい匂いの場合に、カチッという音を聞かせ、ごほうびを与え、すわらせた。一方で、バイオプシー(生検)で肺がんを確認した患者55人、健康体の人83人の息を、ポリプロピレンの糸に吹きつけて採取、チューブに保管した。各チューブには番号をつけ、犬に嗅がせた。肺がん患者の息を嗅がせた場合、犬は564回すわった。すわらなかった、つまりミスした場合が10回あったが、実験方法に間違いがあったりした場合を調整して、研究者たちは、正確度は99%、と結論づた。健康な人の息を嗅がせた場合、犬は、708回すわらなかった。すわったのは4回だけだった。研究者たちは、「実験をしたわれわれ自身、この結果に驚いている。もちろん、追試験を行って、再確認する必要はあるが。また、息の中の化学成分を分析する必要もある」と述べている。これに対して、この実験に疑問符をつける関係者も多い。例えば、犬が嗅いだ匂いは、治療に使われた薬剤の匂いで、肺がん患者のがんと関連した物質ではないのではないか、という疑問だ。これに対して、実験者は、あらかじめ、化学療法を行っている患者は、実験から除外した、と反論している。米がん協会の専門家は「いずれにしても、たとえ、この実験に問題がなく、繰り返し実験して、犬ががんをかぎ分けることが正しい、としても、予備的な診断には使えるかもしれないが、実際には、やはりバイオプシーが必要になるだろう」と語っている。