2006年02月01日
糖尿病で一番こわいのは合併症だ。網膜症、じん臓障害、神経障害、が3大合併症といわれるが、最悪の場合は、失明、足の切断など、深刻な事態を招く。それに最近は、糖尿病がきっかけで起きる、心臓病、脳卒中が大きな問題となっている。糖尿病は、治癒することはなくても、その進行を抑え、合併症のリスクを減らすのは、血糖値を管理するほかない。そこで、血糖値を管理するには、どういう治療法を取るのがいいのか、について、明確な答えが出た。それは、インスリン注射を1日に3回以上うつという、非常に積極的な療法である、と2005年12月22日付けの米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」が伝えた。ハーバード大学医学部(ボストン)のデービッド・ナサーン教授らが行ったこの研究は、「糖尿病管理と合併症に関する試験」(Diabetes Control and Complication Trial)と呼ばれ、1型の糖尿病患者1441人を被験者にして、1983年に始まった。「米国立糖尿病・消化器病、じん臓病研究所」の研究資金でスタートしたこの試験のテーマは、従来からの糖尿病管理と、より厳格な血糖値管理をする積極的療法との比較、だった。この試験開始当初は、ほとんどの糖尿病患者は、1日に1回血糖値を測定し、インスリン注射は1日に1回、ないし、2回だった。厳格積極療法では、血糖値を1日2回以上測定し、インスリン注射を1日最低3回うつというもの。その試験結果が、1993年に報告され、6年間の試験で、積極療法で、眼、じん臓、神経障害の3大合併症のリスクが大きく下がったことが明らかになった。このため、各地の糖尿病治療機関で、積極的治療法を採用するところが増えた。しかし、心臓病と言うもう一つの大きな合併症については、積極療法でどうなるのかはっきりしなかった。そこで、2型糖尿病患者も含めて、新たに1394人の患者を対象に、2005年2月まで試験が続けられ、今度その結果が発表された。それによると、積極療法は、通常療法と比較して、心臓血管疾患全般に関しては42%、とく心臓発作、脳卒中に関しては、57%もそのリスクを減らすことがわかった。ナサーン教授は、「これはドラマティックな効果である。糖尿病の合併症を減らすための手段として、これは最終的な回答といってもいい」と述べている。米国立糖尿病・消化器病・じん臓病研究所のジュディス・フラドキン博士も、「この試験結果は、医師にとっても、患者にとっても、非常に重要な意味をもっている。(1日2回以上の血糖値測定、3回以上のインスリン注射、という)積極療法を続けるということは、並みの努力では難しいことだが、その有効性が歴然としているのだから、そうせざるを得ない」と話している。なおアメリカには、2100万人の糖尿病患者がおり、年々増えている。高齢化と肥満が増えているからである。糖尿病患者の死亡原因の75%は、心臓病、脳卒中など、心臓血管系の疾患となっている。