2006年01月25日
暑い戸外での作業、消防活動、スポーツ競技中など、過熱状態で倒れ、命を落とすケースがある。こんな時、即時、簡単に体温を下げる、という機器が登場し普及し始めている。「コアコントロール」(CoreControl)と呼ばれるこの機器は、米国防省の後押しで開発されたもので、コーヒーのポットほどの大きさで、持ち運びでき、使い方も簡単。ひんやりした円錐形の金属が、袋状になった機器の中央に入っている。体が熱くなった人は、この装置の袋の中に手を入れて、円錐形の金属を3分から5分ほど握りしめておれば、体のなかから冷え始めて、熱による障害を防止できる。体温が下がったら、すぐにも、仕事に復帰できるという。従来から、体を冷やすには、冷たいタオル、冷たいチョッキ、冷却ゲル、などを使う。これらは、触れると直接冷たい感じを与える。しかし、コアコントロールは違う。直接触れても冷たい感じはしないのである。人間の手のひらには、放熱器に似た働きをする特殊な血管が走っている。激しい仕事や運動をしている最中や、そのあとに発生する熱を吸収し、より冷たい血液を全身に送り込む働きをしている血管である。コアコントロールは、この「放熱冷却血管」に直接働きかけて体を冷やすのである。その時、急な冷却で血管が収縮するのを防ぐために、コアコントロールの真空の部分が血管を広げるようになっている。コアコントロールは、スタンフォード大学の生物学者クレイグ・ヘラー、デニス・グラン両氏の共同発明になるものだ。ヘラー教授は、「われわれがやったことを一口で言うと、体が本来持っている放熱機能を高めてやって、体を正常に戻していやることだ」と話している。FDA(米食品医薬品局)は、2003年に、この体の放熱装置を認可している。発明者によると、コアコントロールを使うと、過度の冷却を防ぐ生理的なメカニズムが働いて、冷えすぎは起きない。つまり、副作用はない」という。コアコントロールは、すでに、マイアミ大学のフットボール・チームが使っている。試合中、選手は、過度の発熱や発汗による消耗を防ぐために、時々、コアコントロールに手を突っ込むのである。とくに、クォーターバック、ワイドレシーバー、ディフェンスが非常によくコアコントロールを使う、とコーチは言っている。米軍も、イラクやアフガニスタンに派遣された兵士に、コアコントロール持たせている、という。また、熱に対する感受性が大きな問題となる多発性硬化症(MS)の患者にコアコントロールが利用できるのではないか、と見る専門家もいる。でも、コアコントロールはまだ改良の余地がある、というわけで、ニューメキシコ大学では、華氏107度(摂氏41.7度)、湿度30%の実験室を作って、コアコントロールの実験を進める計画を立てている。コアコントロールのお値段は一式で3295ドル(40万円)。大学、プロのスポーツチーム、軍関係、病院など以外で利用するのは、ちょっと無理かもしれない。