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2006年01月05日

世界初、部分的顔面移植手術を実施--フランスで

フランスで、今年(2005年)11月27日、世界初の部分的顔面移植が行われた、と同月30日発表された。手術を行ったのは、すでに移植の分野で名が知られているジャン・ミッシェル・デュベナール医師を含む医師団で、手術を受けたのは38歳の家庭の主婦。彼女は、今年5月、犬に噛まれて非常に醜い顔になった。そればりか、しゃべることも、噛むこともできなくなった。手術が行われたのは、フランス北部の町、アビエンスの病院。脳死したドナー(提供者)の家族の許可を得て、鼻、唇、あごを移植した。「いまのところ、患者の容体は安定している」と医師団の声明は述べている。しかし、手術が成功したかどうかは、しばらく様子をみないと判断できないと言われている。医師団もいつ退院できるか、その見通しについては何とも言えない」と言っている。かつて、中国で頭皮と耳の移植手術が実施されたが、その成否はわかっていない。いずれにしても、部分的とは言え、顔面の移植手術が行われたのは世界で初めてのことである。この手術について各方面から、称賛、警告、批判などさまざまな反応がある。まず、称賛と希望の声。もし、こんどの移植が成功すれば、やけど、事故などによってひどく醜い顔になった人にとって大きな希望となる。しかし、顔面の移植手術は通常の手術法ではきわめて難しかった、と医師団も認めており、その成否は予断を許さない。専門家は、部分的であろうと全面であろうと、顔面移植は非常に危険性が高い、という。イギリスの移植学会の倫理委員会委員長のスティーブン・ウイグモア博士は言う。「ドナーから採取した皮膚をそっくり患者にかぶせるのだが、当然拒絶反応が起きることが予想される。ある日、移植した皮膚が拒絶反応ではがれるかもしれない。そうなると、残された患者はどうなるのだろう」。さらに同博士は、「移植によって起きる大きな問題の一つは感染の心配である。そのために、顔が黒ずんできて、1年から2年後くらいに、再度移植手術が必要になるかもしれない。また拒絶反応を抑えるために、患者は、抑制剤を一生飲み続けなければならないだろう。そうなるとじん臓障害やがんの心配が起きる」と述べている。イギリスで顔面移植を許可しないのは、こうした心配があるためだ、と同博士は言う。フランスの場合、生命倫理当局が、全面顔面移植は許可しないが、口や鼻などの部分的移植の余地は残してある、という。
アメリカでは、メイヨークリニック(ミネソタ州)などが、顔面移植手術を計画しているが、移植外科医のマリア・シーミオナウ博士は、「フランスで部分的顔面移植手術が行われたというが、それによって、われわれの移植計画が影響を受けることはない。われわれは、まず、本当に顔面移植手術が必要な患者を探している、あらゆる方法を試みても、なおかつ顔の醜さが深刻な患者にだけを、手術の対象としたいからだ」と話している。今度のフランスの部分的、顔面移植手術に関与したデュベナール医師は、仏下院の国会議員で、1976年ヨーロッパで初のすい臓移植手術を行い、1998年9月には片手の移植手術を行った医師団のリーダーだった。さらに、2000年1月には両手の移植手術を行った。片手の移植を受けた患者はニュージーランド人で、移植部分はのちほど切断された。医師は、患者が言われた通りに薬を飲まなかったために拒絶反応が起きたからだという。両手移植受けた患者はフランス人だったが、モデルロケットを打ち上げていて両手を失った。移植後回復は順調で、2003年には、自分でひげも剃れるようになった、と報じられている。2003年9月には、中国の南京の病院で、脳死した青年から72歳の女性に、両耳、頭皮の一部、顔の皮膚の一部が移植された。4ヵ月後、拒絶反応もなく腫瘍も発生していない、と報じられたが、現在どうなったのかについての情報はない。その他、世界各地で、顔の部分的移植が行われているが、いずれも、自分の体の皮膚を移植したもので、この場合は、拒絶反応の心配はない。