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2005年12月22日

母と子を結びつけるホルモン発見

母と子を結びついているホルモンがわかった、と、米ウイスコンシン大学のセス.D。ポラック博士(Seth D. Pollak)らが、2005年11月22日付けの「米国立科学アカデミー紀要」(Proceedings of the National Academy of Sciences)で発表した。それによると、このホルモンは、脳下垂体から分泌される「オキシトシン」(oxytocin)、「バソプレシン」(vasopressin)という2つのホルモン。この2つのホルモンは、授乳や水分のバランスを調節するなど、体の機能に影響を及ぼしているだけでなく、他の人と積極的に交わる気持ちを起こさせる、など、さまざまな社会的行動にも関係している、という。なかでも、母と子の社会的に結びつき、男と女の性的な結びつきに密接に関連しているという。ポラック博士らは、母と子の結びつきのなかで、これら2つのホルモンが、どうなっているのかを調べた。普通に育てられた4歳半の子どもを、抱かれるなど母親と体で接触したあと、子どもの尿からオキシトシンを調べた。その結果、30分後には、子どもたちのオキシトシンの濃度が高まっていたことを確認した。同じことを、母親がいないなど、母と子の間の愛情を知らずに育った子どもについてオキシトシンを調べたとこ、濃度が上昇することはなかった。これらの子どもたちは、ルーマニアやロシアの孤児院に収容されている子どもたちで、この子たちが他の人をなかなか交われないのは、オキシトシンの濃度が低いからではないか、と研究者たちは解釈している。研究者たちは、さらに、普通に育てられた子どもは、体の具合が悪いなど、気持ちがふさいでいる時には、かならず、親のところへ行って慰めを得るが、孤児院の子どもの場合は、育ての親がそばにいるにもかかわらず、そこへは飛んでいかないで、見知らぬ人のところへ行く場合がある。そんなとき、ホルモンのバソプレシンの濃度が低下していることが確認されている。バソプレシンは、人を見て、その人が。自分にとって、親しい人かどうかを区別する働きがあり、それが少ないということは、他人を区別できないようになってしまっている、と考えられる。この研究で、ルーマニアの孤児院を訪れて研究をしたチャールズ・ネルソン博士(ハーバード大学の小児科医)は、「普通に母親に育てられた子どもと、それを知らない恵まれない子どもの違いが、尿で調べられるオキシトシンの違いであるということは、すごいことだ」と述べて、いくつかの説明を試みている。
●生後2年間は、赤ちゃんにとって、人とのまじわりを発達させる非常に重要な時期で、そこで作られるオキシトシンが、母親と反応することによって、母と子の関係が形成される。
●その重要な時期を逸しても。オキシトシンの働きには柔軟性があり、その後につくられる人との交わりの中で、オキシトシンの反応は正常化する可能性がある。つまり、時期を過ぎても、オキシトシン反応が形成されれば、本当の母親でなくても、新しい母と子の関係生まれる可能性がある。
●すなわち、孤児の問題を解決する一番の方法は、やはり、愛情ある家族に引き取られ、育てられることだろう。
●その結びつきの親密度を知るために、子どもの尿を調べて、オキシトシンの濃度を測定することが尺度になるかもしれない。その結果、関係があまりよくない、とわかれば、なんらかの改善策を考えることができるだろう。