2005年12月02日
顔に注射してしわを取るボトックスは、いまや、美容院などで気軽にでき、すっかり定着した。そのボトックスが、あのつらい顔面神経痛の痛みを軽減させるのに有効であることがわかった、と雑誌「神経科学」(Neurology)2005年10月25日号で報じられた。それによると、この試験は、フィラデルフィアにあるジェファーソン医科大学の神経科教授、スティーブン・シルバースタイン博士らが行ったもので、顔面神経痛の患者13人にボトックスを注射したところ、全員が、部分的、または、完全に痛みが取れた、という。投与量は、ボトックスを10ユニットずつ、年間にして、4、5回の割合で注射したもので、試験期間の60日間で、ほとんどの患者が、それまで手放せなかった痛み止めの薬を、大きく減らしたか、完全のゼロにした、という。この著しい効き目に、シルバースタイン博士はじめとする研究者たち驚いている。同博士は、「ボトックス投与は安全で、これといったリスクはない。試験規模が小さく、しかも、薬のテストの常道である、偽薬との比較も行っていないが、これだけの効き目のある薬を使わないという手はない」と述べている。顔面神経痛(三叉神経痛)は、三叉神経の障害による顔面の激烈な痛みで、現在、治療法としては、抗けいれん薬の投与か、神経外科的な手術しかないのが現状だ。しかし、抗けいれん薬の投与では、不快な副作用に悩まされる。神経の手術はリスクが大きく、しかも、莫大な費用がかかる。いずれの方法でも、完治することは難しい。そこで、ボトックスが治療法として使えるとなると、患者にとっては大きな福音となる。しかも、費用は、ボトックス1ユニットあたり5ドル(600円)ほどで安い。今後、顔面神経痛の治療法として、ボトックスは非常に有望だ、と研究者たちは太鼓判を押している。なお、これまで、ボトックスは、眼の周辺のけいれん、片頭痛にも効くと言う報告がある。さらに最近では、わきがの治療にも役に立つ、と言われ、その効用がますます広がっている。ボトックスは、あのおそろしい食中毒の原因となるボツリヌス菌がつ放出する毒素をうんと薄めて無毒化たもの。