2005年11月16日
加齢性黄斑変性症(age-related macular degeneration、AMD)に、新しい注射薬が登場した。高齢者が失明に至る一番の眼の病気であるこの難しい眼病になると、視野の真ん中が見えないで、周辺部が見える、という症状が起きる。網膜の中心部にあって、視力がもっとも鋭敏な部分である黄斑部で、網膜の細胞に異常が起こり、新生血管が侵入してきて、ものの中心部が見なくなるのだ。この新薬は、「アイテク製薬」(Eyetech Pharmaceuticals)と「ファイザー社」が開発、販売する「マキュゲン」(Macugen)。雑誌「Retina」(レチナ、網膜)2005年9月号に掲載された報告によると、この薬の臨床試験は、加齢性黄斑変性症の初期と診断された50歳以上127人を対象に行われた。被験者を2つのグループに分け、第1のグループにはマキュゲンを、第2のグループには偽薬を、それぞれ、48週間に9回注射した。54週間後、両グループの視力を検査した。その結果、どちらのグループとも、臨床試験開始当初よりも、判別できた視力検査表の文字が少なくなっていた。つまり、視力が低下していた。しかし、判別できなくなった文字数、つまり、低下した分の文字数が、偽薬を与えられたグループでは平均17文字だったが、マキュゲンを注射さたグループでは、4、ないし、6文字分だった。また、臨床試験開始前には視力があったが、54週間後にはほとんど見えなくなり、失明状態になった人がおり、その割合は、偽薬を与えられたグループでは10%に上ったが、マキュゲンを注射さたグループでは3%に過ぎなかった。これらの試験結果から、研究者たちは、加齢性黄斑変性症の初期の段階で、マキュゲンを注射すれば、これが有効に働いて、視力の低下を防いだ、と解釈している。なお、先ごろ、南サンフランシスコにあるバイオテクノロジー会社のジェネンテク(Genentech Inc)が開発した「ルセンティス」(Lucentis)という試験薬が、加齢性黄斑変性症の患者の視力改善に有効であることがわかった、とこのほど開かれた「米網膜専門家学会」(American Society of Retinal Specialists)の会合で報告された。(ジャスネット通信第451号、2005年9月6日号参照)。このように、この眼の難病に、このところ少し明るい光が射し込んできたようだ。