2005年11月17日
アメリカでの睡眠薬の使用が、ここ数年急激に伸び、10代の子どもにまで広がっている実態が明らかになった。処方せん管理会社の「メドコ社」(Medco Health Solutions)がまとめて、10月17日発表した報告によると、20歳から44歳までに処方された睡眠薬は、2000年から2004年までの5年間に倍増し、睡眠薬のために支払った薬代は、1.9倍に増えた。さらに、10歳から19歳の睡眠薬使用量が、同じ期間に85%伸び、そのためにつかわれたお金は、何と、223%増えた。同社のデータアナリストによると、睡眠薬を使う子どもたちの15%は、ADHA(attention deficit/hyperactivity、注意力欠如・過剰活動)の治療薬も使っている、という。ADHAは、一つのことに注意を向けられずに、落ち着きがなく、しょっちゅう動き回っている、という病気の子どものことだ。「多動症」とも呼ばれている。そういう子どもには、普通、落ち着かせるための薬剤を、毎日のように与えることが多く、学校にも用意されていることがある。ADHA治療薬が、睡眠問題を起こしているのかどうか、については、まだわかっていない、とアナリストは言っている。同社のロバート・エプスタイン博士によると、男女別では、睡眠薬の使用は、女性に断然多く、とくに、20歳から64歳までの女性は、同年代の男性より58%高いという。睡眠薬の一番の利用者は、高齢者であることは、今も昔も変わっていない、と同博士は言う。しかし、若い人が睡眠薬を使い始めると、その使用量、頻度が、たちまち増加する傾向がある、という。また、お年寄りは早く目が覚めるので、主に睡眠を継続させる目的で睡眠薬を使うが、子どもや若い層では、早く睡眠に入るために使うケースが多い、という。NIH(米国立衛生研究所)によると、アメリカには、不眠症、睡眠中の無呼吸など、なんらかの睡眠問題を抱えている人は、7000万人に上り、うち60%は、慢性化しているという。いずれにしても、睡眠薬はいまや、ビッグビジネスに発展しており、この需要増加の傾向は、新たに睡眠薬が登場する度に、加速度的に跳ね上がるだろう、とエプスタイン博士予測している。なお、2004年中に、アメリカでの睡眠薬処方件数は3500万件、金額にして21億ドル(2300億円)に上っている。最も多く処方されている睡眠薬は、サノフィアベンティス社の「アンビエン」(Ambien)で、2004年に、世界中で17億600万ドルを売った。アメリカでは、処方される睡眠薬だけでなく、ドラッグストアで店頭販売の睡眠薬もある。