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2005年11月06日

米で「ナチュラルビーフ」が急成長

健康志向のアメリカ人に間で、牛肉に対する風当たりが強くなった1986年ごろ、オレゴン州のある町で、畜産農家が集まって打開策を協議した。このまま行くと破産する、という切羽詰まった気持ちで、連日、話合いを続けた。ある時、ヘルスクラブの指導者を招いて話を聞いているうちに、一つのひらめきが浮かんだ。牛のえさはすべて植物性のものとして動物性の飼料はやめる。成長ホルモンと抗生物質は一切使わない。こうしてできた肉を、ナチュラルビーフ(natural beef)と名づけて、産地直送で店に卸す、というのはどうか、と。こうして試作された牛肉は。「オレゴン・カントリー・ビーフ」という商品名が付けられた。その時の運動のリーダーだったコニー・ハットフィールドさんは、「われわれは文なしになるところだった。とにかく真剣だった。背水の陣を敷いて、ナチュラルビーフを売り出した」と回顧する。ときあたかも、狂牛病への恐れが広がり、消費者が、店で売られている牛肉の正体を知りたがるようになった。その点、「オレゴン・カントリー・ビーフ」は、少しは値段が高くても、生産地がわかっており、成長ホルモン、抗生物質を使わず、動物由来の飼料を食べさせないなど、その飼育法もはっきりしている、というので、消費者が安心して買うようになった。ナチュラルビーフは年々売上げを伸ばした。10年間で、ナチュラルビーフの牛は、年間、当初の3400頭から4万頭になった。とくに、実際にアメリカで狂牛病が発生した2003年以降は、ナチュラルビーフは、年々倍倍ゲームで増えている。「ナチュラルビーフ」、ないし、「有機ビーフ」と言われる牛肉の販売高は、このところ急激な伸びを示しているものの、現在まだ、年5億5千万ドル程度で、全牛肉市場の1%にも満たない。しかし、牛肉の生産量が全体として減っていることから、ナチュラルビーフにかける期待は大きい。全米で全牛肉の生産量は246億ポンド(110億キロ)だが、これは、1995年の251億ポンド(113億キロ)より減っている。そこで問題になるのは、スーパマーケットに「ナチュラルビーフ」、あるいは、「有機ビーフ」の表示がある製品が増えると、本当にそうなのかどうか、ちゃんと厳密に飼育されているのかどうか、の疑いだ。農務省では、消費者の要望に応えて、「ナチュラル」「有機」の定義をいっそう厳格にすることにして、「ニセ物」が入り込めないようにしている。