2005年11月25日
FDA(米食品医薬品局)の前局長、レスター・クローフォード氏が、就任してわずか3ヵ月で辞任した背景には、わけがありそうだ、ということで、米連邦議会は、調査に乗り出す。クローフォード氏は、局長代理を長い間つとめたあと、局長に昇格した。FDAは、食品、医薬品、化粧品の許認可権をもつ影響力の大きい政府機関で、その最高責任者の辞任をめぐる疑惑に、米国民は注目している。議会筋によると、FDAの監査機関は、すでにこの件で調査を始めており、近く議会に報告するという。クローフォード氏に対する疑惑は、主に、その職責に関する金銭上の「利害の衝突」にあると見られている。議会では、マイク・エンザイ上院議員(共和党、ワイオミング州選出)、エドワード・ケネディ上院議員(民主党、マサチューセッツ州選出)、モーリス・ヒンチー下院議員(民主党、ニューヨーク州選出)らが急先鋒で、とくに、ヒンチー議員は、「クローフォード氏の辞任はきわめて異例で、不可思議だ。問題が明らかになれば、その結果は後々までも響くだろう」と断言している。当のクローフォード氏は、辞任後、公的な場面にはほとんど顔を出しておらず、このため、疑惑をさらに深めている。辞任後唯一行った「フォーブ」誌とのインタビューでは、クローフォード氏は辞任の理由について事後避妊薬のモーニングアフターの承認問題と、妊娠中絶薬の「RUー486」の問題をあげている。モーニングアフターは、翌朝使用すれば妊婦を回避できるという一種の避妊薬で、これをいつでも、だれでも入手できるように、との要請がFDAに出されていた。科学的には安全性に問題はなく、当然承認すべき状況にあったが、当時のクローフォード局長は、2005年8月に、「FDAはモーニングアフターの販売に関する決定を保留する」として、責任を回避した。これは、モーニングアフターを自由販売にすると、若者の性が乱れる、として心配する保守派、およびブッシュ政権の圧力にFDAが屈したのではないか、と見られている。妊娠中絶薬の「RUー486」は、2000年、クリントン政権の末期に、FDAが販売を許可したが、その後も、それを撤回せよとの圧力が、保守勢力からFDAに対して絶えずかけられていた。この他、クローフォード氏は局長室の女性職員とのスキャンダルがあった、と言う向きもあり、この問題は当分収まりそうもない。