2005年10月17日
ぜんそくなど、アレルギー反応を引き起こすきっかけとなるアレルゲンには、ほこりや花粉、寒気、などがあるが、怒り、心配ごと、不快感など、感情的なストレスによっても、ぜんそくの発作が起きたり、症状が悪化したりすることがある。これは、ぜんそく持ちならだれしも経験していることである。ストレスという心理的、精神的現象と、発作と言う身体的な変化は、どこでどうつながっているのだろうか。まず、ぜんそくの発作が起きる仕組みを見よう。まず最初に、アレルゲンを吸い込むと、気道から化学物質が放出され、これが、筋肉を収縮させ、胸が苦しくなる。次に、その周辺の細胞が活性化して、サイトカイン(cytokine)と呼ばれる化学物質が放出される。これが、体内に侵入してきたアレルゲンと戦う。そこに炎症が起きる。この、筋肉収縮と炎症という2つの反応が合わさって、気管支が細くなり、ぜんそく特有のヒューヒュー、ゼーゼーと言う呼吸になって、息苦しくなる。ウイスコンシン大学のリチャード・デビッドソン教授(精神医学)らは、感情的ストレスとぜんそく発作との関係を調べる研究を行った。まず、軽いぜんそくの気があるボランティア6人に、筋肉収縮を引き起こす物質と、炎症を引き起こす物質を吸い込ませた。その1時間後と4時間後に、MRI(磁気共鳴映像法)を使って、ボランティアの脳をスキャンした。スキャンしている間に、ボランティアたちは、スクリーンに映されたいくつかの言葉を読むように言われた。そこに現われた言葉は、「cutains」(カーテン)、「lonesome」(寂しい)、「wheeze」(ぜんそくのゼーゼー)、「cough」(咳)、「suffocate」(息苦しくさせる)、など。カーテンはニュートラルだが、あとは、感情に関係したり、ぜんそくの発作に関係した言葉だ。こうした言葉を読ませるごとに、ボランティアの脳のスキャンに変化が見られ、とくに、感情や発作に関係した言葉を読むときに、炎症を引き起こす脳の部分が活性化した。ニュートラル、あるいは、ネガティブな言葉の場合には、脳のその部分に変化は起きなかった。研究者たちは、この試験は規模も小さいので、結論を出すには限度があるが、ある感情が起きると、ぜんそくの炎症を引き起こす脳の部分に変化が起きて、それが、発作に関連していることは間違いない、と言っている。