2005年10月10日
慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome,CFS)と呼ばれる病気がある。いつも「疲れた、疲れた」と言っている人のことだが、慢性疲労症候群と診断されるためには、激しいだるさ、疲労感が6ヵ月以上続いた場合、と言うのが大前提となっている。この他、微熱が続く、喉が痛い、うつ、集中力などの低下、の症状が発病の判断の参考になるが、いずれにしても、症状は多種多様で、診断が難しい。原因は、ウイルス説などいろいろ言われいるが、わかっていない。したがって、治療法については、対症療法だけで、これと言った決め手はない。とにかく、まず、慢性疲労症候群の本性を確かめる必要がある。そこで、イギリスのロンドン・インペリアル・カレッジのジョナサン・カー博士らが、「慢性疲労症候群の生物学」とも言うべき研究論文を、「臨床病理学雑誌」(Journal of Clinical Pathology)8月号で発表した。博士らは、慢性疲労症候群と診断された患者と、同年、同性の健康な人を相手に、血液を採り、最新の遺伝分析技術を使って、血液中に、遺伝子の発現がどうなっているか、を見た。この遺伝子の発現状況は、病気の原因探るための、重要な手がかりとなる。その結果、慢性疲労症候群の患者と、健康な人との間に、明らかな違いが見つかった。患者の場合には、T細菌など、免疫反応に関係する細胞の活性が高く現れた。この他、外敵の侵入など、さまざまな体の異常に対応する血液変化も数多く見られた。つまり、慢性疲労症候群の患者は、ちょっとした外敵の刺激を敏感に受け止め、それに反応して、体の防衛に過度に備えている、ということがわかった。だから、いつも疲れているのである。慢性疲労症候群の患者が、いろいろな症状を呈することも、これで説明できる。このことから、研究者たちは、血液中に現れた遺伝子の発現を一つ一つ追求すれば、慢性疲労症候群の患者に何が起きているかがわかり、病気の原因を探ることができ、それに応じて、治療法も見つかるのではないか、と期待している。