2005年10月20日
FDA(米食品医薬品局)の専門家による諮問委員会は、(2005年)9月8日、インスリンを注射する代わりに、口から吸い込む方式の「吸入式インスリン」を、承認すべきである、との答申を決めた。通常、FDAは、諮問委員会の答申にしたがって最終決定することが多く、近く、吸入式インスリンが登場する可能性が高くなった。そうなると、毎日、多い人で1日4回、インスリンを注入するために、主に腹部に針を刺している糖尿病患者は、注射の痛みから開放されることになりそうだ。注射でなく、筒状の容器からインスリンを吸収する方式の吸入式インスリンは、すでに各地の病院で試験的に取り入れられている。しかし、吸入によって、肺に支障が起きないか。などの安全性、有効性の問題、喫煙者ではどうか、などいくつかの問題点が残っており、FDAは承認に慎重だった。承認を可とす諮問委員会の決定を得たのは、「ファイザー社」(Pfizer)、「サノフィーアベンス」(Sanofi-Aventis)、「ネクター製薬」(Nektar Therapeutics)の3社で共同開発された、商品名「イクスベラ」(Exubera)。9月8日開かれた諮問委員会では、吸入する薬(インスリン)と、吸入容器の安全性を中心に審議されたが、結局、取扱い上、注射と比較して、吸入方式がとくに複雑であるということはなく、いくつか問題はあるものの、それをはかりにかけると、注射から開放されるというメリットが上回る、ということで、表決の結果、7対2で承認すべきとの決定を得た。承認申請のために提出された試験結果によると、吸入式インスリンが血糖値を下げる効果は、注射とほぼ同じだという。ただし、吸入によって、咳が出る、呼吸がしずらくなった、といった苦情があった、という。共同開発した3社は、今後、2019年まで、「イクスベラ」の長期使用の効果や副作用について追跡調査をすることにしている。