2005年09月23日
加齢性黄斑変性症(age-related macular degeneration、AMD)は、高齢者が失明に至る一番の原因である。網膜の中心部にあって、視力がもっとも鋭敏な部分が黄斑部。ここに、網膜の細胞に異常が起こり、新生血管が侵入してきて、ものの中心部が見なくなる。周辺部は見えるので、視野の真ん中が見えないで、周辺部が見える、という症状が起きる。症状が進むと、失明に至る。これといった有効な薬はなかったが、南サンフランシスコにあるバイオテクノロジー会社のジェネンテク(Genentech Inc)が開発した「ルセンティス」(Lucentis)という試験薬が、加齢性黄斑変性症の患者の視力改善に有効であることがわかった。このほど開かれた「米網膜専門家学会」(American Society of Retinal Specialists)の会合で、その臨床試験結果が発表された。それによると、患者716人を対象に、1年間かけて行われた試験では、患者の25%から34%の視力が、視力検査表の3行分(25文字)分改善した。同じ試験で、偽薬を与えられた患者では、同程度の視力が改善された割合は5%だった。全体を平均すると、ルセンティスを与えられた患者では、7文字分視力が改善したが、偽薬組でが、11文字分視力が低下していた。この結果から、研究者たちは、ルセンティスは、加齢性黄斑変性症の患者を改善する初めての薬であることを確認した、と言っている。従来の薬は、せいぜい、症状の進行を遅くするか、現状維持が精一杯だった。第2の試験として、162人の患者を相手に、加齢性黄斑変性症の治療薬として、現在もっとも進んでいるとされている、ノバルティス社の「ビジュダイン」(Visudyne)と、ルセンティスとを比較する形で行われた。その結果、ルセンティスを投与された患者の24%は、視力表で15字以上の改善を示したが、ビジュダインを受けた患者では、改善したのはわずか5%に過ぎなかった。全体の平均で見ると、ルセンティスを投与された患者は、5文字分の改善があったが、ビジュダインを受けた患者では、平均8文字分の視力低下が見られた。このデータで、ジェネンテク社では、早期にFDA(米食品医薬品局)の認可を得たい、としているが、副作用など安全性にまだ問題が残っているとも指摘されている。この新薬は、直接眼に注入するものなので、FDAは高い安全性を求めている