2005年09月21日
アスピリンを常用すると、結腸がんと直腸がん(日本では合わせて大腸がんという)の患者の病気の再発を防止する働きがあることがわかった、という研究が、このほど、米フロリダ州オーランドで開かれた米臨床腫瘍学会の会合で、発表された。この研究を行ったのは、ボストンにあるダナファーバーがん研究所のチャールズ・フックス助教授ら。研究者たちは、すでに手術を受け、化学療法をうけている進行大腸がんの患者800人以上を対象に、アスピリン、セレブレックスなどの抗炎症剤を投与してみた。これまで、大腸がんを患ったことがない人で、アスピリンを常用している人は、大腸がんにかかりにくいことが知られていたからだ。その結果、アスピリンを常用させた患者は、試験終了の2年半の間に、大腸がんが再発した割合が、アスピリンを飲まなかった患者より、55%小さかった。「このような安価な薬が、これほどの再発防止の働きをしたとは、大変印象的だ」とフックス助教授は話している。研究者たちは、さらに、他の抗炎症剤についても試験してみたが、セレブレックスでは44%、バイオックスでは41%の再発防止効果が認められた。しかし、この試験結果を以て、大腸がんの再発防止にアスピリンなどを使用することには、慎重でなければならない、と米がん協会のリヒテンフェルド博士は言っている。その理由は、この試験の規模が比較的小さいこと、また、抗炎症剤の副作用に気をつけなければならないからだ、という。とくに、バイオックスは、昨年、この薬を使用することによって、心臓血管系の病気のリスクを高めることがわかり、回収されている。同じクラスの鎮痛剤であるセレブレックスも、心臓血管系の病気と関連が深いとされて、その警告をラベル表示しすることになっている。また、アスピリンは、消化器官内での出血のおそれがあることは、以前から知られている。なお、大腸がんは、アメリカでは、もっとも発病者が多いがんで、男性は、10万人当たり発病者が62.1人、死亡24.8人、女性は発病者が46.0人、死亡17.4人で、男女合わせて、10万人当たり発病が52.9人、死亡が20.5人となっている。