2005年08月24日
同じ乳がんを患っても、体重が重い女性は、スマートな女性よりも、病気が悪化しやすく、回復が難しい、再発率も高い、と、ニューヨーク州にあるロチェスター大学の乳がん専門医、ジェニファー・グリッグズ博士が報告している。そのわけは、体脂肪が多いため、体をめぐっている女性ホルモンのエストロゲンが増えるからだと言われている。エストロゲンは乳がんの腫瘍の成長を促進するので、乳がんが治りにくいからだ。しかし、同博士は、この説明とは別の説を、「内科学雑誌」(Archives of Internal Medicine)で出している。同博士は、患者に与える化学療法の薬に注目して、標準的な化学療法剤を受けた9672人の乳がん患者を調べ直した。その結果、太った患者に与えられた化学療法剤の用量が、標準より、平均して20%も少ないことがわかった。化学療法剤の用量は、患者の体重、身長、体表面積によって、決められる。太って体が大きい患者には、化学療法剤を多目に与えることになっているのである。時に、大きい女性に与えるべき化学療法剤の量が、やせた患者に与えるべき量の、2倍、極端な肥満女性には、6倍にもなる。しかし、医師はそんなに大量の化学療法剤を与えると、その毒性が、つまり副作用がこわくて、どうしても少なめにさじ加減してしまうのだ。グリッグズ博士は、「太った女性の乳がんが治りにくい理由の一つは、与えられている化学療法剤の用量が不十分なためと言える」と明言している。がん病棟に行くと、化学療法剤の副作用で、頭の毛すっかりなくなってしまった女性を多く見かける。化学療法剤の副作用はこわい、しかし、与える量が不十分だと病気は良くならない、こういうジレンマのなかで、医師も患者も、がんと戦っている。