2005年08月21日
「笑い」が健康増進に有効、と説く科学者が多いが、笑うと、実際にどれほどのカロリーが消費されるのか、を実際に測定した研究者がいる。米テネシー州ナッシュビルにある、バンデビルト大学の「生物栄養学研究所」所長の、マイケル・ブコウイスキー博士をリーダーとする研究者たちで、最近、アテネで開かれた「欧州肥満会議」(European Congress on Obesity)で発表した。研究者たちは、まず、45組の友人同士のペア(男同士7組、女同士17組、男女ミックス21組)のボランティアを、密閉された一室に閉じ込めた。そこで、テレビのコメディのビデオを見せて、室内の人が笑う度に、どれほどのカロリーが燃焼されるかを測る、という仕組みだ。いわば、笑いの実験室である。そのために、ボランティアには、リクライニング椅子に楽に座ってもらい、話をしないように、動かないようにと言った。そして、被験者には、研究の目的は笑いを測定することである、とは告げなかった。自然な状態で起きる笑いを、研究の対象にするためだ。自然な笑いは、社交的な笑いとは、脳のまったく別な部分が関与している、とブコウイスキー博士は言う。特別に設計されたこの部屋では、中の人が吸う酸素、吐き出す炭酸ガスが、精密に測定できるようになっている。被験者一人一人には、笑いを録音し、心臓の鼓動を記録する装置が付けられた。こうして、部屋の中に缶詰になったボランティアたちは、まず、退屈な田園風景のビデオを、長々と見せられた。この間に、研究者たちは、被験者が、静かにしている時の代謝の状態、つまり、基礎代謝を測定したのである。これが、この実験のベースになる。次に、5本のコメディを、各10分間ずつ、5分間隔で、スクリーンに映した。その間に、モニター、テープ、などから得られた、笑い、鼓動、呼吸、酸素や炭酸ガスの測定値などのデータを、秒単位で分析して、研究者たちは、「笑い」のカロリー消費量をはじき出した。その結果、ブコウイスキー博士によると、笑っているときは、ボランティアの消費カロリーが、通常静かにしている時の20%増であることがわかった、という。
その程度は、一日に10分間か15分間笑うと、約50キロカロリー消費されるほどになる。これは、中くらいの板チョコ1枚を食べたときのカロリーに相当する。一日に10分間か15分間笑うと、1年間で、体重2キログラム減る勘定になる。毎日大いに笑って、やせられれば、こんなに楽なことはない。ただし、ここで言う「笑い」とは、多くの人が、毎日の生活や仕事の場で、習慣的に、ひんぱんに行っている笑いではない。つまり、社交的、あるいは、付き合いの上での笑いではない、と研究者たちは念を押している。こういう笑いは、顔のしわを増やすばかりで、カロリーの消費にはならないからだ。そうでなく、本物のユーモアがたっぷりで、心底おかしくて笑うのでなければ、カロリー燃焼にはならない、というのだ。つまり、本当におかしくて笑い、あとから、思い出し笑いを誘うような、良質な笑いでなければ、減量効果はないというわけである。