2005年08月03日
1人の臓器提供者から取り出した、肝臓、両肺、じん臓を移植された3人の患者が、移植手術の数週間後に死亡した、という事件が米ロードアイランド州プロビデンスで起きた。原因は、提供者がペットとして飼育していたハムスターについていたウイルスが、臓器を移植された患者に感染したため、と見られている。このウイルスは「LCMV」(lymphocytic choriomeningitis virus)と呼ばれ、齧歯(げっし)類の動物の排泄物に接触することによって、人間にもうつることがある。
3人は、移植手術と受けてから2、3週後の4月中旬に、死亡している。この臓器提供者からの、もう片方からのじん臓が、別の患者に移植されたが、この患者はこのウイルスに感染したものの、その後回復した。さらに、同じ臓器提供者からは、角膜も取り出され、アメリカ国外の2人の患者に移植されたことがわかっている。現在、当局がその行方を調べている。プロビデンスの衛生当局の調べだと、臓器を提供したのはロードアイランド州出身の女性で、彼女の自宅には、少なくとも1匹のハムスターがペットとして飼われていた。検査の結果、このハムスターは、LCMVに対して陽性反応を示した。CDC(米疾病管理予防センター)のスポークスマン、デービッド・ダイグル氏は、「3人は、ハムスターのウイルスに感染して死亡したと見られるが、イエネズミが感染源である可能性は否定できない」と述べている。
LCMVウイルスは、家の中のマウスにもよく見つかる。これに感染すると、インフルエンザ様の症状、あるいは、神経障害の症状が現れることがある。また、妊婦がこのウイルスに感染すると、流産するおそれがある。しかし、今度の場合のように、すぐに死につながることはないのが普通だ。なのに死亡したのは、移植を受けた患者は、移植手術のために、大量の免疫抑制剤を与えられていて、免疫機能が弱っていたため、ウイルスの繁殖を許してしまったからだろう、とロードアイランド州衛生局のデービッド・ギフォード局長は言っている。同局長によると、移植に使われる臓器の事前検査項目には、LCMVは含まれていない、という。提供臓器に関してLCMVは要注意に入っていないからだ、という。同局長は「今度のケースはきわめてまれで、通常起きない。臓器移植を受ける予定の患者は、このことで心配をする必要はありません」と話しているが。