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2005年07月29日

医療ミスが減らないのは保険システムに原因−−米報告

米国立科学アカデミーの1機関である「医学研究所」(Institute a Medicine)が、2000年に「アメリカでは、医療ミスが日常的に起きており、そのために、毎年、何と9万8000人が犠牲になっている」とする報告を出し、全米に大きな衝撃が走った。以後、各方面で医療ミスが論議され、その対策が立てられた。あれから5年経過した5月18日、「医学研究所」が、改めて医療ミスに関する報告をまとめ、「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」(JAMA)で発表した。それを一口で言うと、一部の病院で、あるいは、病気によっては、医療ミスが大きく減っているが、全米で見るとアメリカの医療ミスは一向に減っていない」と結論づけている。つまり、「医療ミスによる年間死者数10万人」という水準は、この5年間で変わっていない、というのだ。報告は、アメリカでなぜ医療ミスが減らないか、を分析しており、その原因をいくつか指摘している。
まず第一に、医療システムが複雑すぎて、リーダーがだれであるのかはっきりしないこと、したがって、責任の所在が不明確であること、医師がミスを率直に認めようとしないこと、それに加えて、医療保険システムに問題がある。としている。すなわち、たとえ医師がミスをしても、その医療行為に対する報酬を、病院側は、保険組織に請求しているばかりか、ミスしたために必要になった余分な医療行為についても、医療費を請求している。一方、医療ミスを減らすために行っている行為や努力に対しては保険は支払われない、ところに問題があるというのだ。この報告をまとめハーバード大学公衆衛生学部のルシアン・リープ博士は、「医療現場では、医療ミスを減らすために、何をすればいいのかわかっているのです。勇気を出して、その壁を打ち破ればいいのです」と主張している。そして、報告は、医療保険関係者に、患者の安全に最重点をおくシステムに変えるよう要求している。「そうすれば、病気によっては、ミスを93%減らすことができるはずです。例えば、集中治療室で、人工呼吸器を付けている患者の5%から8%は肺炎を起こすが、これは、定められた手順を忠実に守っていれば、肺炎をゼロにすることができるのです。病院側に奮起してもらいたい」と、リープ博士は言っている。博士はさらに、「完全無菌状態の集中治療室を整えている病院には、保険で払われる額を20%増額すべきだ。実質的に医療費を減らしているのだから。今の保険システムは、患者に与えたサービスに対してだけ支払っているが、本当は、患者に提供した医療とその結果に対してしも支払われるべきだ」と述べている。