2005年07月08日
カリフォルニアに住む人たちを、30年近く追跡調査したところ、40代ごろに、肥満、ないし、体重オーバーだった人は、年を取ってからアルツハイマー病などの痴呆症にかかる割合が高いことがわかった、と4月29日、英医学会報(British Medical JOurnal)オンイン版で発表された。この研究は、NIH(米国立衛生研究所)の資金で、「カイザー・パーマネンテ医学基金(Kaiser Permanente Medical Foundation)の研究者が行ったもの。「カイザー・パーマネンテ」はアメリカの有力な健康保険会社。研究者たちは、40歳半ばまでの男女1万276人を対象に、定期的に健康診断し、約30年間、痴呆症になったかどうかを中心に、追跡して調べた。とくに、被験者の肥満度を、2種類の方法で調べた。一つは、体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割った値である「BMI」で、この値が30以上は肥満、25から30は体重オーバーとした。もう一つは、皮下脂肪の厚みで、肩甲骨の部分と、腕の下の脇腹の皮膚の厚みを測定した。その結果を一口で言うと、体重が正常な人で、痴呆症になったのは10人に7人の割合。体重オーバーの人で痴呆症になったのは10人中8人、肥満者では10人中9人が痴呆症になっていた。これだけでも、肥満度が高いと痴呆症になりやすいことがわかるが、さらに詳しくみると、その関係がよりはっきりした。値と痴呆症との関係を見てみると、皮下脂肪が厚い人は、薄い人よりも、後年、痴呆症になる割合が70%も高かった。しかも、皮下脂肪の厚みが大きければ大きいほど、痴呆症にかかる割合が高いことが見事に証明されたのである。
40歳代に太めの人は、なぜ、老年になってから痴呆症になりやすいのか。研究者たちは、まだ、その謎を解明していないが、いくつかの仮説をたてている。例えば、肥満の原因となっている肥満細胞には、炎症を引き起こす有害な化学物質が含まれており、これが脳内に侵入して痴呆症の引き金になるのではないかと見る人もいる。また、肥満者は、飽和脂肪を食べる傾向があり、魚油など不飽和脂肪を多く含んでいる食品を食べないからではないか、と見るみ向きもある。サプリメント(栄養補助食品)のフィシュオイルが痴呆症の予防になるかもしれない、ということで、その試験をしてみたい、と研究者たちは言っている。