2005年06月12日
MRIでスキャンして、写し出される脳細胞の微妙な変化を知ることによって、お年寄りの記憶減退の始まり、ないし、アルツハイマー病の初期が判別できる、とする研究が、雑誌「放射線学」(Radiology)最近号で報告された。報告したのは、ニューヨーク市にあるニューヨーク大学(NYU)医学部の放射線科教授、ヘンリー・ルジネック博士を代表とする研究者チーム。研究者たちは、60歳以上の男女45人を被験者として、まず、彼らにテストをさせて、記憶力や集中力に異常のないことを確かめた。それから、2年置きに3回、6年間にわたって、被験者にテストを行い、同時に、MRIで脳の様子を探った。テストは、短い文章を読ませてそれを思い出させる問題、2つの言葉やイメージを結びつける問題、語彙(ごい)に関する問題、買い物ゲームなどで、記憶力、その他頭脳の働きを調べるためのもの。6年後に、45人中、32人は脳の働きに異常が認められなかったが、13人は記憶力減退、ないし、アルツハイマー病の初期と診断された。その症状の程度は、実際の年齢より5歳ほど、老化が進んでいるケースが多かった、という。こういう脳の働きに衰えが出ている人の脳は、MRI像で、脳細胞が死滅している様子が、はっきり読み取れるという。実際には、こうしたMRI像に現われる脳細胞の変化は、記憶減退、ないし、アルツハイマー病が起きる数年前から認められ、これが、老人の脳の衰えを知る上に役に立つだろう、と研究者たちは見ている。研究リーダーのルジネック博士は、「脳の機能の減退は、MRI撮像によって脳細胞の死を数えれば、89%の確率で予見できる。しかし、われわれが調べたところによると、お年寄りの脳は、意外とシャープで創造的に働いていることがわかった。ということは、MRIで脳の働きに衰えの兆候が見えても、脳のエクササイズをするなどして、記憶力の減退を防ぐことが可能であると思う」と話している。