2005年05月22日
商店やレストランで、太った客と、普通にスマートな客とでは、客扱いが違うのか、を実際に試した実験が行われた。
販売やサービスに携わる人が、体格や服装で、客をどう判断しているかを知るためである。この、風変わりな実験を行ったのは、米テキサス州にあるライス大学の大学院生たちで、学部の学生からボランティアを集めて、この実験は行われた。ボランティアの学生たちは、まず、買い物客を装って、ヒューストンのショッピングモールに出かけ、店に入って、店員と接触した。それから、ボランティアたちは、いったん戻って、パッドがたっぷり入った衣服に着替えて、外見が肥満な人に見せかけて、再び、同じ店内に入って、店員の接客態度を見た。このようにして、スマートな客と、太った客とでは、店員の態度がどう変わるかをよく観察した結果が、このほど、ロサンゼルスで開かれた「産業組織心理学会」(IndustrialandOrganizationalPsychology)で報告された。それによると、店員は、太った客に対しては、スマートな客と対比して、明らかに、ぶっきらぼうで、冷たい態度だった、という。スマイルも少ない、という。また、同じ人が、きちんとしたスーツを着て、身なりを良くして店に入った場合と、カジュアルな服装で店に入った場合とでは、店員の接客態度が、はっきり違ったという。また、レストランでも、肥満者は微妙に冷たい扱いを受けた、という。しかし、同じ肥満者でも、店の従業員に、それとなく、自分はダイエットをしている、ということを伝えると、店員の態度ががらっと変わったという。研究リーダーのイーデン・キングさん(ライス大学博士過程、産業組織心理学専攻)は「この実験は、肥満に対する世間の偏見(stigma)を見るために行ったが、それが見事に確認された」と述べている。彼女らは、この実験のあと、本当に肥満な人を相手に、実際に店で嫌な思いをしたことがあるかどうか、についてアンケート調査を行った。その結果、ほとんどの肥満者は、店で差別的な扱いを受けたことがあり、そういう場合は、予定を切り上げて、さっさと店を出て、お金も使わない、と肥満者はアンケートで答えている。「店員や従業員の間に、太った人に対して、無意識に偏見があることは間違いない。こうした態度が店の売上げを減らしている。商売するなら、だれに対しても、スマイルで接することが肝要」とキングさんは言っている。なお、産業組織心理学は、会社、商店、その他、人間が集まる組織での心理を調べる学問で、最近、アメリカでも、経営者が関心を寄せている。