2005年05月16日
閉ざされた機内で、長時間飛行している間に、他の乗客から病気をもらうことはないだろうか、という心配はいつもある。これまでも、飛行中、SARS(重症急性呼吸器症候群)や肺結核に感染したと思われるケースがいくつか報告されており、とくに、伝染性の病気が流行している時には、その地域を飛ぶと、気になるものである。英医学誌「ランセット」3月12日号に、機内感染について行った調査報告が載っている。救急医療の専門家、マーク・ジェンドロー博士(米マサチューセッツ州バーリングトン)らがまとめたこの報告によると、ジェット機のなかは、病原体に感染する危険度については、オフィスなど、地上の閉ざされた空間と、ほほとんど違いはないと考えてもいい、という。博士によると、航空機が高度を上げて巡航している時の外界は無菌状態にある、と言ってもいい。最近のジェット機は、飛行中、外からキャビンに空気を取り入れて、キャビンの中で、温度を上げ、圧縮し、冷却し、循環させて、機内の環境が快適になるよう調整している。機内の空気の循環は、前方から後方に流れないように、工夫されている。100以上乗せる航空機内では、普通、微生物を吸収する働きのある、「HPEA」と呼ばれるフィルターが使われている。それでも、保菌者から2列以内の座席に、8時間以上座っていた乗客が感染したという、報告があった。また、SARSの感染者から7列離れて座っていた乗客が、感染したという例もあったという。ジェンドロー博士は、「このように、機内での感染例はあるが、一般的には、その危険度は低いといってもいい。しかし、閉ざされた空間で、何時間も、見知らぬ人たちと一緒にいると、だれでも、保菌者がいるのではないか、感染するのではないか、と不安になるものだ。そういう場合にはどうするか。飛行中、よく手を洗うこと、座席上部に付いているファンのスイッチを入れて、弱めでいいから、常に、顔の前に空気をかけておくといい」と話している。