2005年05月15日
雑誌「疫学と地域健康」(JournalofEpidemiologyandCommunityHealth)4月号で、ギリシャで行われたこんな研究が掲載された。アテネ大学衛生疫学学部のニコス・バイバス博士らは、アテネから約200キロ離れた3つの村の住民、合わせて1198人を調べた。3つの村のうち、パルナッソス地方のアラホバ村は、標高3100フィート(930メートル)の丘の上にあるが、他の2村、ペロポネソス地方のゼルゴラティオとアイドニアは、海抜がほとんどゼロメートルの平地にある。調査の結果、高地のアラホバ村の住民は、他の平地の2村の住民と比べて、心臓病の割合が、男で61%少なく、女でも54%少なく、明らかに、標高の高いところに住んでいる人の方が、心臓病が少ないことがわかった。また、心臓病以外の原因による死亡率も、高地の住民の方が低かった。ところが、血圧、総コレステロール値、トリグリセライド(中性脂肪)は、いずれも、高地の住民の方が高かった。これについて、研究者たちは、「標高が高いところは酸素が不足しているが、これが健康維持に良い影響を与えているのではないかと思われる。空気が薄いと、人間はそれだけ体を動かすので、それが健康上、いい結果につながっている。運動選手が高地トレーニンをすると耐久力がつくのも、空気が薄いからだ」と語っている。調査した3つの村では、住民はほとんどが、農業、畜産に従事し、女性は、家事をまかせられている。この調査に加わったハーバード大学公衆衛生学部のディミトリオス・トリコプーラス博士(がん予防の権威)は、「適度に酸素が欠乏した状態で体を動かすと、心臓の働きが良くなる。この村の住民の場合は、毎日の激しい労働が良いエクササイズになって、健康増進に役に立っている」とコメントしている。