2005年05月14日
がん患者の半数が、体重減で苦しみ、あげく、栄養失調を起こして死を早める。
この体重減からがん患者を守る有力な手段として、あのサリドマイドが、いま注目されている。雑誌「腸」(Gut)4月号に、サリドマイドを、実際に、すい臓がんの患者に使ったテストの結果が掲載された。
それによると、このテストでは、重度のすい臓がん患者50人を2つのグループに分け、一つのグループにはサリドマイド200ミリグラムを毎日投与して、あとのグループには偽薬を与えた。試験の対象となった患者は、全員。テスト開始時にすでに、自己の本来の体重の10%以上を、がんのために、減らしていた。こうして4週間経過後、体重を測定したら、サリドマイド投与組は、平均して約1ポンド(0.45キロ)体重が増えていたが、偽薬組は、約5ポンド(2.25キロ)も体重が減っていた。さらにテストを続け、はじめから8週間経過後に測定したら、サリドマイド投与組は、ぼぼテスト開始時の体重を維持していたが、偽薬組は、8ポンド(3.6キロ)も体重を落としていた。また、腕の筋肉のつき方も、サリドマイド組の方がよかった。しかし、握力については、両グループで変わらず、生存率にも違いは出なかった。この結果から研究者たちは、サリドマイドが、明らかに、がん患者の体重減を防ぐ効果がある、と結論づけている。すい臓がん以外のがんについても、サリドマイドに体重減防止効果があるのかどうか、については、さらに試験をして見ないとわからない、としている。なお、このテストでは、がん患者に副作用として、体のだるさ、マヒ、発疹などが見られたが、概して、患者はよくサリドマイドに耐えていた、という。サリドマイドは、1960年代、つわりを軽減する薬として、世界的に服用されたが、これを飲んだ妊婦から、深刻な障害児が続々と生まれ、史上最悪の薬禍事件を起こしたことはよく知られいる。日本も例外でなく、数多くの犠牲者が出て、いまだにその後遺症が残っている。なお、アメリカは、最初からFDA(米食品医薬品局)がサリドマイドを承認せず、被害ゼロだった。