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2005年01月29日

超音波が脳卒中発作の患者を救う

魚群探知や、おなかの中の胎児の性別を知るのに使われる超音波が、脳梗塞型の脳細胞の発作を起こした患者の命を救うのに役に立つことがわかった、という研究が、11月18日発売の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に掲載された。
この研究を行ったのは、ヒューストンにあるテキサス医科大学の研究者たちで、脳梗塞を引き起こした血管内のクロット(血栓などの凝固物)を溶かす薬剤と一緒に、超音波を照射すると、薬剤の働きが強化され、生存率が高まった、という。
脳卒中には2つのタイプがある。
一つは、脳の血管が破れて出血する脳出血型で、くも膜下出血も入る。
もう一つのタイプは、脳の血管がなんらかの原因で詰まって、その先に酸素や栄養物を行き渡らなくなる脳梗塞型だ。
酸素や栄養が行き渡らなくなった脳の組織は障害を受け、壊死(えし)を起こす。以前は、この状態を「脳軟化」と呼んでいた。
血管を詰まらせるもの、つまり、クロットは、血の固まりである血栓が多い。
最近は、TPAという、クロットを溶かすすぐれた薬が普及して、発作が起きてすぐにこれを使うと、命が助かるケースが多くなった。
しかし、TPAは発作が起きてから3時間以内に投与しないと有効でないことが多く、これで命が助かる患者は限られている。
そこで、研究者たちは、脳卒中の発作を起こした126人を実験対象に、TPAをともに、超音波を使ってみた。
その結果、発作後まもなく、TPAだけを使った患者の生存率は30%だったが、TPAといっしょに超音波を使った患者では、約半数の患者で、血管の詰まりが解消し、血流が再開して、命が助かった。
しかも、超音波を使った患者の42%が発作から3ヵ月経った時点でも生存しており、長期的にも有効であることがわかった、という。
TPAだけ使用した患者で、3ヵ月後も無事生き延びた患者の割合は29%だった。
超音波が、なぜ、血管の詰まり解消に役に立つのか、について研究者たちは、まだわかっていない、と言っているが、多分、超音波を当てることによって、クロットを溶かすための薬剤(この場合はTPA)が、よくミッスクして、血管内で作用しやすくなるのではないか、と見ている。
この研究結果について、ボストンのニューイングランド・メディカル・センターのイメージング(画像処理)の権威、ジョセフ・ポラク博士は、「脳卒中発作の治療にさいして、われわれが取れる選択肢はほとんどない。だから、この研究が与えるインパクトは大きい。これを機に、超音波を取り入れた新しい治療技術を導入する方向で、積極的に取り組む必要がある」と述べている。
また、ある専門家は、「超音波装置はいろいろな診断に使われるので、どこの病院でも置いてある。その取扱い者もいるので導入しやすいがだろう。だた、脳卒中の血管の詰まりに超音波を当てるとなると、技術的に相当な経験が必要になる。そういう資格のある人を、緊急治療室に配置しなければならない。そのための器具の開発も必要になるだろう」と言っている。